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ある日の夜の事。空に輝く満天の星空の下で、見張り台に座ってイゾウさんと語り合う。

吹く風は柔らかくて、私の髪を弄ぶ。

「夢?私の?」

「あぁ」

突然イゾウさんに訊かれて、しばらく考える。

夢なんて持った事はない。夢は、未来がある人が持つものだから。未来があるのかないのか分からなかった私は、昔から、1日1日を生きるので精一杯だった。

「イゾウさんは?」

訊き返すと、彼は星空を仰ぎ見て呟いた。

「オヤジを海賊王にする事」

オヤジさんを海賊王に…。確か、エースもそんなような事を言っていたような気がする。この船に乗った人は皆そういう夢を抱くのだろうか…。

「それ以外はないの?」

「これ以外?」

「うん。もっとこう…個人的な」

すると、イゾウさんは顎に手を当てて考えた。そして私の方をチラリと見たかと思えば、肩を抱き寄せた。

「Aとずっといる事」

距離の近さと、耳元で囁かれた言葉に顔が熱くなる。慌ててイゾウさんを押し返すと、楽しそうに笑って頭を撫でてきた。

「で?お前さんの夢は?」

私はイゾウさんに向けていた顔を正面に向けて、目を閉じた。

「秘密、って言ったらどうする?」

「そりゃあズルイねえ。おれは言ったってのに」

イゾウさんの言う通りだけれど、今の私の夢は言ってもいいものか分からない。

「…皆が幸せでいる事かな」

立ち上がって、広くどこまでも続いている暗い海を眺める。闇が広がる海を見ていると、隣にイゾウさんがいても孤独を感じる。

するとイゾウさんも立ち上がって、私を後ろから抱き締めてきた。

「皆“ が ”じゃない。皆“ で ”だろ」

そんな些細な事に気付かれるとは思わなかった。

「…そうだね」

肯定するしかなかった。否定したら、きっとイゾウさんはわけを聞いてくるだろう。そうしたら私は、更に嘘を重ねなくてはいけない。

「家族って…いいね。温かい」

イゾウさんの腕に触れて、彼に少し体重を預けると、鍛えられた身体を感じる。

「当たり前だ」

この人は海賊。いつ、私の目の前からいなくなってもおかしくはない。

確かに私は未来を知っている。イゾウさんはまだ死なない。だけど、私は望まずにはいられないんだ。

あなたたちの幸せを。あなたたちが傷付かない未来を。

その時、視界の端で星が流れた。

「あっ、流れ星。祈らなきゃ」

イゾウさんの温もりを感じながら星に祈った私の願い。

どうか…叶いますように。

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イゾウRAVU - 10才だと五年生ですよ! (2018年12月9日 13時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
アベッチ - 面白いです!頑張ってください!! (2018年3月23日 16時) (レス) id: 6605acb6b9 (このIDを非表示/違反報告)
焔彩(プロフ) - コメントありがとうございます!夢主ちゃんは色恋沙汰に関しては純粋すぎるんです。故にイゾウは苦労人だったわけです。 (2018年1月21日 22時) (レス) id: 5e6d9dd208 (このIDを非表示/違反報告)
ミンハオの嫁()(プロフ) - 夢主ちゃん純粋すぎるぅぅ!私なんて、私なんて、小5で知ってましたよぉぉ!!純粋なんて程遠いいいいい!羨ましいわっ!。。ちなみに初コメです笑笑 (2018年1月21日 20時) (レス) id: 48f96f1def (このIDを非表示/違反報告)
juantya_(プロフ) - イゾウがすきなので、こういうストーリー好きです!更新頑張って下さい! (2018年1月14日 12時) (レス) id: 2079238fcf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:焔彩 | 作成日時:2018年1月10日 16時

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