よろしく ページ28
エースさんは私の胸ぐらを掴んでいた手を離すと、二歩後ずさった。
「意味分かんねえよ、お前…!分からないって言ったり分かるって言ったり!何なんだよ!!」
「あなたの痛みは分からない。でも、気持ちは分かる部分がある」
かつての私と同じモノを、彼は欲している。
彼は今、手を伸ばせば得られる距離にいるのに、自分から遠ざけようとしている。
私が得られなくて、彼が得られるモノ。
「あなたが欲しいのは、無条件で与えられる、愛情や優しさでしょう?」
彼の腕を掴んでそう訴えかける。
目の端から溢れた涙が、甲板の床にシミを作る。
「ねぇ…“ エース ”」
エース、と優しく呼べば、彼は私の目を真っ直ぐ見つめる。
「手を伸ばせば、届くんだよ?オヤジさんや皆は…あなたをきちんと愛してくれるよ?だから…せっかく差し出された手を、払い除けないで。ここには、あなたの敵なんかいないから」
エースから離れて、私は彼に手を差し伸べる。
「あなたを傷つける人がいたら、私たちが戦う。あなたの闇を、私たちにも背負わせて」
エースは私の顔と私の手を交互に見て、おずおずと私の手を握った。
微笑みかけると、彼の目からは涙が溢れていた。
「私の名前、Aって言うの。改めて、よろしくね」
彼は空いている手で涙を拭うと、笑顔を浮かべた。
「よろしくな!A!」
これでいい。たとえこの先に待つ未来が彼を傷つけるとしても…彼の太陽のような笑顔が見れただけで、私は満足だ。
「ところでエースは何歳なの?それによって私が末っ子卒業できるか決まってくるんだけど…」
私も涙を拭って尋ねる。
「…19」
という事は、麦わら帽子のエースの弟、ルフィが海に出るまであと1年か…。
「同い年かぁ…。末っ子卒業ならず…」
この前誕生日を迎えて19になってよかった。じゃなかったらエースにも妹扱いされる所だった。
「そこ、拘る所なのか?」
「この船じゃ大切な事なんだから。私がこの船に乗ってからの数ヶ月…一体どれだけ妹扱いされたと思ってるの?!もう19なのにさ…。だから、エースも覚悟しておいた方がいいよ」
不思議そうなエースだけれど、私は彼に笑いかける。
「すぐに分かるから。じゃあまずは、オヤジさんの所に行こうか」
そう言ったら、彼は露骨に嫌そうな顔をした。
「そんな顔しないの。大丈夫。私も一緒について行くから」
彼の手を引いて、オヤジさんの所に向かった。
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イゾウRAVU - 10才だと五年生ですよ! (2018年12月9日 13時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
アベッチ - 面白いです!頑張ってください!! (2018年3月23日 16時) (レス) id: 6605acb6b9 (このIDを非表示/違反報告)
焔彩(プロフ) - コメントありがとうございます!夢主ちゃんは色恋沙汰に関しては純粋すぎるんです。故にイゾウは苦労人だったわけです。 (2018年1月21日 22時) (レス) id: 5e6d9dd208 (このIDを非表示/違反報告)
ミンハオの嫁()(プロフ) - 夢主ちゃん純粋すぎるぅぅ!私なんて、私なんて、小5で知ってましたよぉぉ!!純粋なんて程遠いいいいい!羨ましいわっ!。。ちなみに初コメです笑笑 (2018年1月21日 20時) (レス) id: 48f96f1def (このIDを非表示/違反報告)
juantya_(プロフ) - イゾウがすきなので、こういうストーリー好きです!更新頑張って下さい! (2018年1月14日 12時) (レス) id: 2079238fcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:焔彩 | 作成日時:2018年1月10日 16時