検索窓
今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:282,821 hit

任せて ページ26

すると、ドタドタと足音が聞こえてきて、エースさんは慌てて食堂を出て行ってしまった。

「A!」

イゾウさんの声が聞こえてそちらを見ると、食堂に入ってきた所だった。

「イゾウさん。どうかしたの?」

クッキーの乗っていないトレーを厨房に置き、新しくイゾウさんのクッキーを乗せて差し出す。

「ありがとな」

クッキーを受け取った彼は、その美しい顔を歪ませた。

「エースの奴がまたいつものだ。いい加減懲りて欲しいもんだ」

私は思わず笑ってしまった。

さっきのエースさんの顔が思い出される。

食べ物を見ていた物欲しげな顔。冷たくて鋭い目を持った顔。何かに怯えているような顔。悲しげな顔。怒った顔。驚いた顔。

表情豊かで繊細な人。昔の私に似ているかと思ったけれど、彼は強い人だ。だって彼はこの世界で生き続けようとしている。

「何笑ってんだよ?」

イゾウさんが不思議そうに私の顔を覗き込んでくる。

「何でもないの。ねぇイゾウさん。彼の事、私に任せてくれない?」

そう言うと、イゾウさんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。

「やめとけ!怪我するぞ!」

「大丈夫。戦う力も持たない私に何かをするとは思えないの」

お願い、と両手を合わせて頼み込めば、渋々了承してくれた。何かされたら誰かに助けを求める事を条件に。





翌朝は早起きをした。甲板で涼しい風を受けていると、頭に手を置かれて犯人を見上げる。そこには、新聞を片手に優しく微笑んでいるマルコがいた。

「おはようさん」

「おはよう、マルコ」

「エースを何とかするんだって?イゾウが珍しく酔ってくだを巻いてやがったよい」

そういえば、イゾウさんが酔った所は見た事がない。やはりお酒には強いのだろうか。

「イゾウはザルだからねい。そうそう酔わねえよい」

私の考えている事が分かったのか、マルコはそう教えてくれる。

私は未成年だからお酒飲めないなぁ…。でも、この世界ってそういう法律ないよね?じゃあ今度少しだけ飲んでみようかな。

すると、扉が乱暴に開けられて甲板に出て来たエースさん。

「扉が壊れたらどうするんだよい、あいつは」

マルコがそう文句を言う。私は彼の手を頭の上からどかすと、小さく手を振ってエースさんの側に行く。

マルコのため息が聞こえた気がしたけど、気にしたらダメだ。

「エースさん」

声をかけると、彼は露骨に嫌そうな顔をした。

気持ち→←怖くない


ラッキーアイテム

革ベルト

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
214人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

イゾウRAVU - 10才だと五年生ですよ! (2018年12月9日 13時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
アベッチ - 面白いです!頑張ってください!! (2018年3月23日 16時) (レス) id: 6605acb6b9 (このIDを非表示/違反報告)
焔彩(プロフ) - コメントありがとうございます!夢主ちゃんは色恋沙汰に関しては純粋すぎるんです。故にイゾウは苦労人だったわけです。 (2018年1月21日 22時) (レス) id: 5e6d9dd208 (このIDを非表示/違反報告)
ミンハオの嫁()(プロフ) - 夢主ちゃん純粋すぎるぅぅ!私なんて、私なんて、小5で知ってましたよぉぉ!!純粋なんて程遠いいいいい!羨ましいわっ!。。ちなみに初コメです笑笑 (2018年1月21日 20時) (レス) id: 48f96f1def (このIDを非表示/違反報告)
juantya_(プロフ) - イゾウがすきなので、こういうストーリー好きです!更新頑張って下さい! (2018年1月14日 12時) (レス) id: 2079238fcf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:焔彩 | 作成日時:2018年1月10日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。