仲良く ページ23
ただ部屋で待っているのも退屈だから、サッチに借りたレシピ本をソファに座りながら眺める。和食と和菓子が全然載っていない。
しばらくそうやっていると、部屋の扉がノックされてイゾウさんの声が聞こえた。返事をすると、優しく微笑みながら中に入ってきた。
「終わったの?」
「あぁ。今は気絶して寝てる。でもまだ気が立ってるだろうから、あいつが起きても極力近づくなよ?」
イゾウさんの言葉に頷くと、彼は私の隣に座ると本を覗き込んできた。
「それサッチのか?」
「うん。借りてるの」
和食が全然載っていない事を言うと、イゾウさんは笑いながら、当然だ、と答えた。
それからしばらくは、他愛ない話に花を咲かせた。
ドッシャーン。
何か大きな音がして、私は目を覚ました。時計を見ると、私にしては遅い起床だと分かった。
着替えて髪をセットして、音のした方におそるおそる近づいてみる。
人間、やはり恐怖より好奇心の方が勝つもので、私がそうしたのは仕方ない事だ。
甲板の隅に置いてあった樽が幾つか砕けて、砂煙が舞うその中には、エースがいた。
誰も声をかけたりしないのかな?
漫画通りなら、オヤジさんの首を狙っているはず。
という事は返り討ちにあってしまったのだろう。
心配だったから、昨日イゾウさんに近づくな、と言われていたのに近づく私は、悪くないと思う。
エースは全く動かない。もしかしてオヤジさん、結構力込めて振り払っているんじゃ…!それで痛くて動けないとか…!
「っ!あの野郎…!」
文句を言って身体を起こしたエースと、目が合ってしまった。
「は?女なんかいたのか?!」
エースが私の頭からつま先までジロジロ見てくる。
「あの、大丈夫?えっと…エースさん」
エースさん、と呼ぶと、彼は立ち上がり私を見下ろした。
久々に人間が怖いと感じる…!あぁ…魚人島の皆さん、今ならあなたたちの気持ちがよく分かります。人間って怖いよね…!
「おれに何か用?」
冷たく訊いてくるエース、もといエースさん。今の彼の年齢が分からないからね…!それに、やっぱり初対面の人には敬語で話さないといけないような義務感がある。
「いや、さっきすごい音聞こえて…。エースさん倒れてたし…。怪我とか…」
「余計なお世話だ!怪我なんかするか!」
そう怒鳴って私に背を向ける彼の大きい背中は、どこか悲しげで、寂しげだった。
どうすれば仲良くできるかな…。
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イゾウRAVU - 10才だと五年生ですよ! (2018年12月9日 13時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
アベッチ - 面白いです!頑張ってください!! (2018年3月23日 16時) (レス) id: 6605acb6b9 (このIDを非表示/違反報告)
焔彩(プロフ) - コメントありがとうございます!夢主ちゃんは色恋沙汰に関しては純粋すぎるんです。故にイゾウは苦労人だったわけです。 (2018年1月21日 22時) (レス) id: 5e6d9dd208 (このIDを非表示/違反報告)
ミンハオの嫁()(プロフ) - 夢主ちゃん純粋すぎるぅぅ!私なんて、私なんて、小5で知ってましたよぉぉ!!純粋なんて程遠いいいいい!羨ましいわっ!。。ちなみに初コメです笑笑 (2018年1月21日 20時) (レス) id: 48f96f1def (このIDを非表示/違反報告)
juantya_(プロフ) - イゾウがすきなので、こういうストーリー好きです!更新頑張って下さい! (2018年1月14日 12時) (レス) id: 2079238fcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:焔彩 | 作成日時:2018年1月10日 16時