時間 ページ21
誕生日を数日前に終えた私は、新しく悩み事ができた。
「で、決めたのかよい?」
食堂で、サッチの作ってくれたオヤツのワッフルを食べていると、向かい側でコーヒーを飲んでいるマルコに訊かれる。
私は首を横に振るしかない。
「早く決めてくれよ?」
イゾウさんが私の横で栗きんとんを食べながら言う。そういえば、この世界には和菓子があるのはワノ国だけなのだろうか。よくよく思い返してみれば、以前料理を作った時にイゾウさんがリクエストした肉じゃがは和食だ。
なら、次は和菓子でも作ってみようか。簡単なものなら私にも作れるはず。
「ようは、イゾウを1日好きにできるって事だよね?」
マルコの横に座るハルタの言葉に、私は少し考える。1日好きに…できる…?
何をしたらいいのかよく分からない。
「おれの時間をやるってだけだ。好きにしていいとは言ってねえだろ」
イゾウさんがハルタに言い返す言葉を、どこか遠くに聞きながら、私は再び考える。
隊長の仕事もあるであろうイゾウさんの時間を24時間ももらえる。どうしようかな…。船の中ではやれる事に限界がある。
「あっ…」
「何か思いついたか?」
ワノ国の事を知りたい。似たような文化を持つからこそできる話がしたい。
「イゾウさん、一日中おしゃべりしたいって言ったら…迷惑かな?」
すると、イゾウさんは驚いたような顔をしてから私の頭を優しく撫でた。
「迷惑なわけないだろ。じゃあ部屋行くか」
二人で一緒に食堂を出て、イゾウさんの部屋に向かう。
彼の部屋は、日本人の私には馴染み深いけれど、この世界の人間には馴染みのない和室でできている。
部屋に入り靴を脱ぐと畳の上に正座する。
「何を話したい?」
「ワノ国について教えて欲しいの」
そう言えば、イゾウさんは満面の笑みを浮かべて話し出した。
侍がいて、将軍がいて。まるで江戸時代だ。
「イゾウさん、和食が食べたくなったら言ってね。和菓子も少しなら作れるから」
「へぇ、ならまた今度頼もうかねぇ。この間の肉じゃがも美味かったしな」
やっぱり料理をするなら食べてくれる人がいた方がいい。
「腕によりをかけて作るね」
「お前のいた所もワノ国に似た文化があったのか?」
私はその言葉に頷いた。
帰りたいとは思わない家。思えない場所。私の帰る場所はこの場所でいい。私の家族はイゾウさんたちだけでいい。
いつか来るであろう“ その時 ”まで、この平和と幸せを満喫しよう。
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イゾウRAVU - 10才だと五年生ですよ! (2018年12月9日 13時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
アベッチ - 面白いです!頑張ってください!! (2018年3月23日 16時) (レス) id: 6605acb6b9 (このIDを非表示/違反報告)
焔彩(プロフ) - コメントありがとうございます!夢主ちゃんは色恋沙汰に関しては純粋すぎるんです。故にイゾウは苦労人だったわけです。 (2018年1月21日 22時) (レス) id: 5e6d9dd208 (このIDを非表示/違反報告)
ミンハオの嫁()(プロフ) - 夢主ちゃん純粋すぎるぅぅ!私なんて、私なんて、小5で知ってましたよぉぉ!!純粋なんて程遠いいいいい!羨ましいわっ!。。ちなみに初コメです笑笑 (2018年1月21日 20時) (レス) id: 48f96f1def (このIDを非表示/違反報告)
juantya_(プロフ) - イゾウがすきなので、こういうストーリー好きです!更新頑張って下さい! (2018年1月14日 12時) (レス) id: 2079238fcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:焔彩 | 作成日時:2018年1月10日 16時