不死鳥 ページ15
甲板に出た私とイゾウさんはマルコを探して、眩しい日差しの下を進む。
探すといっても、イゾウさんは見聞色の覇気を使っているのか、迷う事なく真っ直ぐ進んで行く。
そして、オヤジさんと話しているマルコを見つけた。真剣な話なら邪魔したら悪い。けれど、二人の様子を見ていると、そうではないようなのでマルコに声をかけた。
「マルコ！」
手を高く上げて振ってマルコを呼ぶ。
すると、オヤジさんと話していたマルコがこちらを見て微笑んだ。
「A。どうかしたのかい？」
優しく細められた目が、私を真っ直ぐ見つめる。初めは恥ずかしかったけれど、今ではもう慣れた。
「あのね、不死鳥に乗せて欲しいの。ダメ…かな？」
マルコは驚いて目を見開いている。
やっぱり、こんなわがままダメだよね…。
肩を落としかけた私の頭に手を乗せて、マルコは笑った。
「お安い御用だよい」
「本当…？」
すると、イゾウさんの手が肩に置かれた。
「だから言ったろ？マルコはAにめっぽう甘いって」
「ありがとう、マルコ」
笑顔でお礼を言えば、マルコは早速身体を不死鳥に変えた。それを見て驚く私。
知っていたつもりだった。漫画を読んだだけで伝わってきた美しさを。けれど、間近で見た不死鳥は、とてもとても美しかった。
青い炎はキラキラと輝き、揺れている。恐る恐る手を伸ばして触れてみれば、熱くはなく、柔らかい肌触り。
「すごい綺麗…」
なんて素敵な生き物だろうか。
私はマルコの首に腕を回し、その背中に乗った。
「きちんと掴まってろよい」
「うん…！」
そして飛び立ったマルコ。
風が髪を煽る。目を開けていられなくて目を閉じていたが、風が弱くなるとマルコの声が聞こえた。
「見てみろよい」
目を開けて見れば、目の前に広がっていた光景に息を飲んだ。
太陽の光をキラキラと反射して輝く、どこまでも続く海。大きなモビーが小さく見える。弱い風が私の髪を揺らし、頬を撫でる。
「素敵…」
マルコは空を飛ぶ時、いつもこんな光景を見ているのだろうか？もしそうならば、なんて羨ましい能力なのだろう。
こんな素敵な体験ができるようになるのなら、悪魔の実を食べるのも悪くないと思ってしまうが、マルコの食べた実は確か、自然系よりも希少だったはず。そう簡単にはいかないか。
「お気にめしたかい？」
「うん…とても。ねぇマルコ。また…乗せてくれる？」
「いつでもいいよい」
お礼の言葉は、風に攫われて消えてしまった。
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イゾウRAVU - 10才だと五年生ですよ！ (2018年12月9日 13時) (
レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
アベッチ - 面白いです!頑張ってください!! (2018年3月23日 16時) (レス) id: 6605acb6b9 (このIDを非表示/違反報告)
焔彩(プロフ) - コメントありがとうございます！夢主ちゃんは色恋沙汰に関しては純粋すぎるんです。故にイゾウは苦労人だったわけです。 (2018年1月21日 22時) (レス) id: 5e6d9dd208 (このIDを非表示/違反報告)
ミンハオの嫁（）(プロフ) - 夢主ちゃん純粋すぎるぅぅ！私なんて、私なんて、小5で知ってましたよぉぉ！！純粋なんて程遠いいいいい！羨ましいわっ！。。ちなみに初コメです笑笑 (2018年1月21日 20時) (レス) id: 48f96f1def (このIDを非表示/違反報告)
juantya_(プロフ) - イゾウがすきなので、こういうストーリー好きです！更新頑張って下さい！ (2018年1月14日 12時) (レス) id: 2079238fcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：焔彩 | 作成日時：2018年1月10日 16時
