自己紹介 ページ12
心臓がバクバクと音を立てている。
目の前には甲板へと続く扉。現在甲板では新しい家族である私を歓迎する為の宴の真っ只中。
「大丈夫か？」
一歩後ろに控えているイゾウさんの言葉に、私は強く頷く。
しかし実際は全く大丈夫ではない。頭の中がめちゃくちゃで、緊張と恐怖と不安と、とりあえず、色々な感情が混ざり合っておかしくなりそうだ。
さっきから何度もドアノブを掴んでは離して、を繰り返している。
「A、おれがいる」
左手を優しく握られて、私の中にあった感情が消えたと思ったら、今度は新しい感情が生まれた。
けれど、この気持ちを育ててはいけない。
彼らを守りたいのなら。
私は勇気を振り絞ってドアノブを回した。
ガチャ、と音を立てて開いた扉の向こうでは、甲板から溢れる程の人数が騒いでいた。
私は気を失いそうになる。けれど、何とかそれを耐える。
いつの間にかイゾウさんの手は私の手を離れ、私の肩に回されていた。
「行くぞ」
イゾウさんの言葉に頷くと、私は甲板を進んで行く。
多くの人の視線が注がれる中、私とイゾウさんは、隊長たちの集まる、オヤジさんの側に着いた。
「グララララ！A、もう自力で歩けるのか？」
「はい」
温かくて大きな手が私の頭を撫でた。
これが家族の温もり…。
そう自覚したら、私の口元には長らく忘れていたモノが浮かんだ。
イゾウさんが隣で息を飲むのが分かった。その理由が分からなくて、彼を見た後にオヤジさんに視線を向ける。
「いい顔ができるじゃねえか」
顔…？
微笑んだだけなんだけど…？
「A、他の奴らに自己紹介してやれよい」
マルコさんにそう言われて、私はようやく、周りから注目されているのを思い出した。
「あっ、えっと、はい。ゴメンなさい」
思わず謝ると、イゾウさんの少し鋭い声が聞こえてきた。
「悪くねえのに謝るの禁止って言っただろ？」
「うっ…はい…ゴメンなさい…」
また謝った私にため息を吐くと、イゾウさんは口元に妖艶な笑みを浮かべた。
「ほら、早く自己紹介してやりな」
イゾウさんの声にドキドキしながら、私はペコリと頭を下げた。
「えっと、Aです。この度は助けていただきありがとうございました…」
ついでに、誰が助けてくれたのか分からないから皆にお礼を言う。
「上出来だ…と言いたいが」
イゾウさんに頭を撫でられる。
何で皆は私の頭を撫でるのだろうか？
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イゾウRAVU - 10才だと五年生ですよ！ (2018年12月9日 13時) (
レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
アベッチ - 面白いです!頑張ってください!! (2018年3月23日 16時) (レス) id: 6605acb6b9 (このIDを非表示/違反報告)
焔彩(プロフ) - コメントありがとうございます！夢主ちゃんは色恋沙汰に関しては純粋すぎるんです。故にイゾウは苦労人だったわけです。 (2018年1月21日 22時) (レス) id: 5e6d9dd208 (このIDを非表示/違反報告)
ミンハオの嫁（）(プロフ) - 夢主ちゃん純粋すぎるぅぅ！私なんて、私なんて、小5で知ってましたよぉぉ！！純粋なんて程遠いいいいい！羨ましいわっ！。。ちなみに初コメです笑笑 (2018年1月21日 20時) (レス) id: 48f96f1def (このIDを非表示/違反報告)
juantya_(プロフ) - イゾウがすきなので、こういうストーリー好きです！更新頑張って下さい！ (2018年1月14日 12時) (レス) id: 2079238fcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：焔彩 | 作成日時：2018年1月10日 16時
