ママにあいたい。【文豪ストレイドッグス】【ママにあいたい。】

＊十六 ページ16

＊ ＊ ＊ ＊



お兄ちゃんの部屋を出てすぐの所。



《早く！早く！いなくなってよ！


アンタがいるせいで、あの人に嫌われる！


早く！お腹から出て行ってよ！


女になんて生まれるんじゃなかった！！》



「……」



何も言えなかった。



＊ ＊ ＊ ＊




次はタネさんがいっぱいいた所の『ママの声』を聞きにいった。



＿＿聞けなかった。




「そこの暇してそうな6番目(・・・)！ちょっと此方に来やがれ！」



そこに男の子がいたからだ。



橙色のちょっとくるくるした髪に黒い帽子を被っていて＿＿



……僕より小さい。



仕方なく、その男の子のもとへ行った。



「なになに、3番目(・・・)の脳みそ貰ったんだってなァ？そのくせびっくりするくらいしけたカオしてんだな」



「え？誰……？６番目？３番目？？」



次々と新しい情報が脳に来るので、整理が追いつかない。



「あっは！んなの誰だっていいじゃんか！」



独特な笑い方で適当に返された。



「なァ、そんなことよりお前かくれんぼ知ってっか？俺先刻から暇で暇でしょうがねェんだわ。相手してくれよ」



「……僕、『ママの声』を聞きに来たんだけど」



『ママの声』の前に男の子が立っているので、邪魔で聞けないのだ。



「君は誰なの？……僕より小さ＿＿」



「煩ェ、見た目だけで判断しちゃいけねーぜ。
そんなことよりほら、かくれんぼしよーぜー？俺を見つけたら俺の正体教えてやるよ！あ、真逆かくれんぼ知らないとかぁ？」



最後が少し煽り気味の口調だったので、



「し、知ってるよ！君は誰なのかは知らないけど……そう言われるとなんかちょっとイラッとする！いいよ、かくれんぼやろう！！」



と云ってしまった。



「あっは！いいねェ。そのムキになった顔好きだぜ！じゃあ始めるぞ！お前鬼な！10秒数えたら探すんだぞ！はい始め！」



……結局、うまいこと乗せられてかくれんぼを始めてしまった。

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