ママにあいたい。【文豪ストレイドッグス】【ママにあいたい。】

＊十五 ページ15

脳を貰った後、めだまさんの部屋にあったうねうねしたものを拾ってからお兄ちゃんのところへ行った。




＊ ＊ ＊ ＊



「却説、そろそろ姉の脳を貰ったか？」



「え？！知ってたの？じゃあ今迄分かってて云ってたってこと？」



僕がそう云うと、「まぁな」とお兄ちゃんは返事をした。



「俺が奥の部屋で起きた時に一番に会ったのが姉だし、お前の脳が無い事も知ってたんだ。何故かは分からないけどな」



「そうだったんだ……」



「俺が会った時はまだ話せたが、お前はどうだったか？姉と話出来たか？」



僕は先刻のお姉ちゃんを思い出す。



話したのは最期の一言だけだった。



「うん……一寸だけ」



お兄ちゃんは残念そうに「そうか……」と云った。



「まあ話したところで恋愛の話ばっかだったな。好きなタネがいたらしい」



俺にはさっぱりだったかな、とお兄ちゃんは首を振った。



お姉ちゃんが好きだったタネさんって、もしかしなくてもあのタネさんだろう。



きっと、お互いの想いを最期まで知らないままだったのかな。それって凄く悲しい事だと思う。



「お姉ちゃんもタネさんの事好きだったんだ……」



「……よく分からんが、お前色々と冒険してきたんだな」



まぁ、とお兄ちゃんは言葉を足して、



「なんにせよ、脳を得たんだ。どうだ？気分は」



「うーん……今は微妙だな」



「そうか。まあ最初は仕方ないな。」



お兄ちゃんは自分の頭を指でトントンしながら、



「ならその微妙なアタマでもう一度探索してみたらどうだ？今迄分からなかった言葉も、今なら分かるだろう」



と云った。



「そうだね。もう一度探索して来るね！」



部屋を出て、最初に『ママの声』を聞いた順番ずつもう一回聞いてみる事にした。

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