212.可愛い ページ3
バゲットの炙った甘い香りに
ビーフの焼けた香ばしい香り
胃袋はギューッと痛くなる感覚に
カウンターから出てきたものに最初に出てきた言葉は
"美味しそう"…っではなく
「可愛いっ」
出てきたそのビジュアルに素直に出てきたそれは女の子なら誰でも目がハートになってしまうようなものだった
倫也「どうぞ？」(笑)
美味しそうなプチバーガーとサラダのプレート
プチバーガーはミニチュアサイズで二口もあれば食べれそうなサイズ
でもBLTバーガーにチーズバーガーがあって
見た目がとにかく可愛い
「いただきます」
食べるのが勿体無いっという意識よりも今は空腹がまさりハンバーガーが崩れないように指してあったスティックを抜くと
パクっと口に頬張った
「おぃひぃーっ」
目の前にいる中村さんの事も気にせずにでた声に噎せそうになって
倫也「それはよかった」(笑)
可笑しそうに笑う中村さんに気づいた時には遅かった
「すっ、すみまっ………せん」
噎せる私にお水の入ったグラスを置いてくれてそれを口にすると
倫也「Aちゃんって…」
いきなり違う呼び方をされた事に口につけたグラスが離せなくなっる
倫也「可愛いね？」
"ちゃん"って…
"可愛い"って…
ふにゃふにゃの笑顔に言うから警戒心が薄れる
「…え……っと、ありがとうございます？」
ここは真に受けずにサラッと流すのがいい
倫也「どういたしまして？」(笑)
美味しいはずのハンバーガーの味がよくわからなくなってきて
それでも気まずさにもくもくと食べていたら直ぐに空になってしまったお皿
「ご馳走さまです、とっても美味しかったです」
お腹が満たされると人間の身体って素直なもので少し気持ちが落ち着いたような気がした
倫也「良かった」
それは食事の美味しさだけではなく中村さんの出す空気のおかげかもしれない
ほぼ、初めましてに近い私に彼はなんの隔たりも感じないから
でも長居するつもりもなく
今夜は取り敢えずビジネスホテルにでも泊まろうって冷静になった
「えっと…お会計お願いします」
スツールから立ち上がると鞄から出したお財布
倫也「いらないよ」(笑)
何処か何かを楽しむような瞳
「え？でも」
頭が答えを出すより先に
倫也「そろそろ来るよ」
きっと本能が気づく
外の空気が空いたドアから雨の香りを運んで
私の後ろを見た中村さんがははって嬉しそうに笑う
二宮「Aちゃん」
「…二宮さ…ん」
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作者名：2-38
| 作成日時：2019年9月22日 9時
