第4話 ページ5
「なんと言うか変な夢を見てるような感じなんだよなぁ」
「変な夢?」
一護は心底不思議そうな顔で私を見る。
「あれ?一護に話したこと無かったっけ?」
「おい、俺に話してない事あんのか!」
話せ!!と言われ思いっきり両頬を引っ張られる。
「いひゃいいひゃい!!はらすかや!!はやしへ!!」
そう言って一護は私の頬離し、よし話せと何がなんでも聞く体制に入る。
私は赤くなっているであろう頬を擦りながら涙目で一護を睨みつける。
その視線に一護はフンっと鼻を鳴らす。
一護は私に対して結構過保護だ。
昔はこんなんじゃなかったのに
小さい頃はなんなら私が一護の手を引き歩いていた。
一護には幽霊が見えるらしい。
私はそんなもの見た事は無いのだけれど、
小さい頃、人と違う自分を憂いていた一護の手を引いていた。
その時の一護は今とは違って甘えん坊だった。
けれどある時からそれは変わってしまった。
___Aも家族も、これからは俺が守るから____
一護のお母さんが死に、その葬式にじいちゃんと参加した時だった。
涙を堪えて死んだ様な目をしながら俯く一護が心配で私は彼の事を抱き締めに行ったのだ。
私より小さな体を震わせて、私の背中に手を回しギュッと抱き着く一護の背中をそっと撫でた。
その時に小さいながらも強い意思の籠った声でそう言われた。
__俺、みんなを護れるように強くなるから__
そう言って涙を流した一護は、その宣言通りにあんなに嫌がっていたじいちゃんの道場に入った。
一護は元々運動神経はいい方だったから、どんどん強くなって行った。
それからというもの、一護の手を引いていた私が今度は一護に手を引かれる様になり、
一護を護っていた私はいつの間にか一護に護られるようになった。
歳が幾つだって男は女を護りたいもんなんだよ、護らせてやりゃいい。
昔一護の親父さんに相談した時こんな返答が返ってきた。
じいちゃんにもお前はよくぼーっとして抜けてんだ、丁度いいじゃねぇかと言われた。
そんなもんなんだと思うにはあの頃の私はまだ幼くて、一護の成長が本当は寂しかったのだ。
体が成長していくにつれ、今まであまり大差なかった体格差も一護の方がグンと強く大きくなった。
それを見てまた一護は私が自分より弱いと意識し始め過保護は加速した。
大切にされているというのは嬉しいし、別にいい。
けれど私は一護が思っているほど弱くもないと、時々そう言いたくなる。
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マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは!いつも作品見ています。嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💖 (1月22日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2023年11月28日 20時