第34話 ページ35
「私は自分を守れる術をちゃんと持ってる!」
「それが俺に言ってないことなのか?」
「一護に言わなくたって私は今こうして対処出来てる。」
「そういう事じゃねぇだろ!なんで俺に言わない!!」
「だから私は守って欲しいなんて頼んでない!!そもそも何も言ってくれないのは一護の方じゃん!!」
私達はどちらも折れることなく怒鳴り合う。
今までお互いに隠して、それに気付いていて、見て見ぬふりをし続けてきた。
でもそれはお互いがお互いの為を思ってやった行動だと私達は理解している。
だからこそ譲れないのだ。
「私はちゃんと言ったよ、隠してる事教えてって!でも教えてくれないのは一護だ!」
「だから巻き込みたくねぇんだよお前の事!!危険なんだどうなるか分かんねぇ!!」
「それは虚の事を言ってるの?だったら無駄な心配だ!私はもう一人で虚を倒せる!!それに危険な場所に身を置いているのは一護もでしょ!?」
「まてA!!いつそんな力を手に入れた!?俺が知らない間に何してたんだよ!!」
「そんな事どうだっていいでしょ!!私だって一護が心配なんだ!」
一向に進まない堂々巡りの会話。
それを区切ったのは私達の会話を外から見ていた浦原さんだった。
「さっきから一向に会話が進んでいないのわかってます?」
場違いなおちゃらけた声で言うものだから、私も一護も頭に昇った血が少しづつ下がっていくのを感じた。
「お互いの主張が強すぎてこれじゃぁ埒が明かない。」
やれやれと浦原さんは小さくこぼす。
「黒崎さんはAさんの事を巻き込みたくないらしいっすけど、Aさんはもうこちらに踏み入れてしまった。」
そう踏み入ってしまった以上見て見ぬふりはもうできない。
「それに」と浦原さんは先程とは打って変わった低い声で言葉を紡ぐ。
「自分の事は何も言わないのに、お前は全て話せなんていささか傲慢じゃないっすかね?」
その言葉に一護の瞳が大きく揺れる。
「何をそんなに恐れてるんすか?」
浦原さんの言葉を最後に部屋は沈黙で満たされる。
一護は下を向きそのまま拳を強く握り動かない。
私はそれを黙って見ていた。
結局私達はただのエゴの押し付け合いをしているだけなんだ。
わかってくれるはずだから
そんな考えで相手に甘え続けてきた私達は互いの考えは汲み取ることは出来ても、本当の心の底の願いは知らない。
強く握り続けている一護の手をそっと握る。
一護は顔を上げて不安定な揺れた瞳で私を見た。
それに私は少し笑って返す。
その瞳に映る私の瞳も同じように揺れていた事に苦笑しながら。
110人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは!いつも作品見ています。嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💖 (1月22日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ななな | 作成日時:2023年11月28日 20時