第26話 ページ27
歌が聞こえる。
＿＿城の南で戦って、
酷く楽しそうな歌声で大勢の声がする。
＿＿野垂れ死にしてそのまんま、あとは烏が喰らうだけ＿＿
音程が皆バラバラで､どれが本当の音程なのか分からない。
＿＿おれのため 烏のやつに言ってくれ
がっつく前にひとしきり もてなすつもりで泣けよって＿＿
歌詞は死に行く人の詩なのに、皆それに不釣り合いな明るい声で笑いながら歌う。
＿＿野晒しのまま ほら、墓もない＿＿
初めて聞いた歌な筈のに、どこか懐かしいと思う自分がいる。
＿＿腐った肉さ 一体全体どうやって お前の口から逃げるのさ？＿＿
これは一体何？
＿＿＿＿＿＿まだ、思い出してはいけないよ＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿
＿＿
外界からの小さな刺激を五感が拾い始め、私の意識はゆっくりと浮上する。
目を開けるとそこは見慣れた茶の間の天井で、私はソファに寝ていたようだ。
変な夢を見た。
いつもと同じはずなのに、違う夢。
違う声が多く聞こえたのに、最後は同じ声と言葉で終わった。
あの化け物の斬り方を思い出して、夢の内容が変わったのだろうか。
そういえばあの後、制御の仕方を教えてくれると言った浦原さんはこの後まだ仕事があるから明日同じ時間に来いとそのまま締め出された。
色々覚悟してお願いしますと言ったはずだったのに酷く拍子抜けだ。
その後酷い倦怠感と眠気に襲われ、玄関について耐えきれずそこに横になって眠りについた。
けれど今はなぜか茶の間のソファで横になっている。
そこまで思い出し私はやっと私の眠るソファに突っ伏して眠る、金色が良く似合う彼の存在に気付く。
「しんじくん……」
口から出た自分の声が、酷く小さく掠れていたことに自分でも驚いた。
それでも彼の鼓膜はそのか細い声をちゃんと捕らえたようで、勢いよく起き上がると、私の存在を確かめるように未だ仰向けに寝ている私に覆いかぶさり、強く抱き締めた。
「目ぇ覚めへんかったらどないしようかと思ったわ。」
「大袈裟だなぁ。ちょっと昼寝してただけじゃん。」
「玄関で行き倒れのように突っ伏して寝る馬鹿がどこに居んねん。殺人現場かと思うて肝冷えたわ。」
「わぁ、110番しなくて良かったね、現行犯逮捕だよ。」
「なんで俺が殺人犯なっとんねん。」
私を抱き締めたまま会話は続く。
いつも通りの軽口の言い合いなのに、彼の声はどこか揺れていた。
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マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは！いつも作品見ています。嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか？これからも更新応援してます💖 (1月22日 19時) (
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作者名：ななな | 作成日時：2023年11月28日 20時
