第20話 ページ21
空気がやけに重くて、淀んでいるような気がする。
目に映る風景はいつもと変わらないのに、何処か違う世界に来たみたいだ。
肌がやけにビリビリとする。
頭が何かを警告するようにガンガンと響く。
(ここにいちゃいけない)
何故か分からないがそう思い、逆刃刀を握り直し近くの人気の少ない公園へと走る。
走っている間も、頭痛は絶え間なく私を苦しめる。
まるで何かに急かされているようだった。
公園はやはりいつもと同じように人が居ない。
それに何処か安堵している自分に気付き首を傾げる。
__思い出してはいけないよ__
今までで1番酷い頭痛が私を襲い、私はその場に膝を着く。
知らない声が頭の中に響く。
__思い出したら練ィ靂ッ?眞獻↑__
ノイズが酷くて肝心なところが聞き取れない。
この人は私に何を伝えたいの?
__でも爾ィ檛↑端氣チ喇靂?が来る__
体の右側の肌が針を刺されたように酷く痛んだ。
(何か、来る……!!)
私は咄嗟に逆刃刀を手に取り、思いっきり左側に飛んだ。
すると私がさっきまで蹲っていた場所は見事にクレーターになっていた。
「何…これ……。」
まるで見えない何かに攻撃されているみたいだ。
次は左の肌が痛む。
後ろに大きく飛ぶとやはりまたそこにクレーターが出来る。
(何かがいる……)
__思い出してはいけないよ__
また頭に声が響く。
__思い出したら練う夛ィ靂れ氣チなる__
肌の痛みを頼りに私は見えない何かから逃げる。
何故自分が見えない何か相手にここまで攻撃を避けれているか分からない。
ただまるで自分の身体じゃないように無意識に手足が動く。
動いていくうちにノイズが少しづつなくなって行くのを感じる。
__思い出してはいけない__
景色がぼやけ始め何かのシルエットが浮かび上がってくる。
__思い出したらもう戻れなくなる__
見えなかったはずの何かが姿を現し始めた。
__でも貴女の事だからきっとまた刃を振るう時が来る__
私は逃げるのをやめ、その何かと向き合いぐっと足に力を入れる。
__だからその時が来たら__
地面を力の限り蹴り一瞬で距離を詰め流れる様に刀を抜いた。
__思い出して、貴女という存在を__
気づけば私は見えなかったはずの“化物”を斬っていた。
ノイズはもう聞こえない。
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マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは!いつも作品見ています。嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💖 (1月22日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2023年11月28日 20時