第2話 ページ3
パパっと道着を脱いでシャワーを浴びる。
カラスの行水の如く身体を洗いお風呂場から出る。
髪を乾かすのが億劫で濡れた髪にタオルを巻いて朝食を作り始める。
今日のメニューはベーコンエッグ。
私は朝は断然ご飯派だ。
じいちゃんはよく「パンはご飯ではないおやつだ!!」と言っていたが私も大いに同意する。
パンで腹は膨れない。
そろそろ水も滴らないだろうと思い頭に巻いていたタオルを取る。
「いただきます」
手を合わせて独りぼっちの食卓で小さく零す。
じいちゃんとずっと二人暮しだったから騒がしい食卓というのはあまり経験したことが無い。
会ったとしても幼なじみのうちに泊まりに行った時ぐらいだ。
だから私の毎日の食卓は静かな方だったけれど、
やはり一人と二人では大きな差があって、
「いただきます」そんな小さな言葉がやけに大きく響く。
だから私わざといつもより早くご飯を食べ進める。
そして勢い良く「ご馳走様!!」と言う。
どうせ響くなら元気の無い声より、煩いくらいの声の方が良いだろう。
よし、洗い物と思って私は食器を流しに持っていく。
泡をよく起てて食器を洗っているとピーンポーンと玄関からチャイムが鳴る。
「入ってきていいよー!!」
玄関に向かって大きな声で叫ぶ。
すると玄関に居たそいつは慣れた足取りで私の居る台所に向かってくる。
「毎回思うけどよ、お前チャイム鳴らしてるやつ確認しないで返事するだろ。俺じゃなかったらどうすんだよ。」
「そんな事言うけど、毎日ピッタリこの時間帯に来るのあんたしかいないでしょ一護。」
小言を言いながら入ってきたのは私の幼なじみの黒崎一護。
私達は幼稚園からの仲で、小中高と毎朝こうやって一護は同じ時間帯に迎えに来る。
「てかお前まだ髪濡れてんじゃねぇか!」
「いやぁ髪乾かすのが面倒で」
「女子がそこ面倒くさがんな。髪痛むだろ」
「お前の方こそ女子か。」
「うるせぇよ。ほら脱衣所いくぞ。」
そんな軽口を言い合いながら脱衣場に向かう。
一護はドライヤーを出し、私は歯磨きをしながら髪を乾かしてもらう。
「お前髪伸びたな。」
「そうなのよ、もう結べちゃう。」
水で口を濯いだあと歯ブラシを洗う。
髪が伸びてしまったせいで歯磨きが終わった後でも髪は乾ききらない。
「切らねぇのか?」
「時間も金もねぇ」
そうかよと言って一護パパっと私の髪を結んでしまった。
「上手いじゃん」
「まぁな」
ほら行くぞと言われ私達は家を出た。
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マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは!いつも作品見ています。嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💖 (1月22日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2023年11月28日 20時