第18話 ページ19
石田君の何が一護の琴線に触れたのか分からないが、それから今日一日、一護はずっと石田くんの行動を観察しているようだった。
最初は一護が他人に興味を持った事に珍しいとたつきと驚いていたが、やがてそれは呆れに変わった。
「一護ぉ、まだやるの?」
放課後、石田君が教室を出たのと同時に立ち上がった一護に向かって声を掛ける。
「わりぃ、今日先帰っててくれ。」
そう言って一護は石田君の後を追うように走り出す。
_何がそんなに気になるの?_
喉元まで出てきたそんな言葉をぐっと飲み込んでもう見えなくなった背中を見送る。
過保護な一護の事だ、ただの興味本位で一護が私を放っておく訳が無い。
それでも私より石田君の尾行を優先するという事は、最近一護が隠している“何か”に関係する事なのだろう。
「馬鹿一護……」
そんな虚しい呟きは誰にの耳にも届くことなどなく、放課後の軽快なチャイムの音に揉み消された。
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「忘れたのか?虚は霊力の高い者から襲う習性があるぞ。」
石田にそう言われ一護はハッと息を飲む。
石田が呼び寄せた虚により、街は様々な霊圧が入り乱れていた。
石田の言葉により一護の脳裏には自身の家族と幼なじみの顔が浮かぶ。
一護は石田に掴みかかっていた手を離し、勢い良く走り出す。
それに慌ててコンが後ろから着いてくる。
一護の家族は一護を筆頭に皆霊力が高い。
母の墓参りの時に妹達が虚に襲われた前例がある。
ならば自分が向かうしかない。
「コン!お前はAの所にいけ!!俺はユズとカリンのところに行く!!」
その言葉にコンは驚いた顔で一護を見る。
「待て一護!さっきのメガネに言われた通り、虚は霊力の高いやつから襲うんだ!!Aちゃんの霊力は人並み以下所じゃなく皆無に近いんだぞ!!それだったら襲われる確率は低い!今危険なのは妹たちの方だ!なら2人で探した方がいいだろ!」
コンは一護に向かいそう言うが「でも襲われる確率がゼロな訳じゃねぇだろ。」と一護は淡々と返す。
それに反論しようと口を開くが「いいから行け!!」と一蹴されてしまった。
狼狽するコンに一護は振り返らず冷え冷えとした言葉を紡ぐ。
「あの時は何が起こったのかよく分からなかった。A自体も何一つ覚えてなかったから無かったことにされた。けど今になって漸くわかった。」
コンは横から一護の瞳を見る。
燃えるような瞳の奥底で冷たい何かを見たような気がした。
「Aはあの日、虚に襲われたんだ。」
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マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは!いつも作品見ています。嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💖 (1月22日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2023年11月28日 20時