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第16話 ページ17

ピーンポーンといつも通りの時間に軽快なチャイムの音が鳴る。

「あっ待って!!もう準備出来てるから!!!!」

大きく玄関の扉の先に居るであろう一護に向かい大きな声で言う。

「じゃぁ行ってくるね真子くん。」

「おん、気をつけて来ぃ。」

「うん、いってきます!」

茶の間で寛いでいる真子くんに挨拶したあと急いで玄関に向かう。

扉を開けた先には今日も今日とて目立つオレンジ色の頭をした一護がたっていた。

「おはよう一護!」

「おっす、今日は速ぇ日だな。」

「だから心配いらないって言ったでしょ。」

そう言って私が笑いかけると、一護はまだ釈然としない顔で「なんかあったらすぐ言えよ」と言う。

「もぉ本当に心配性だね一護は。」

「わりーのかよ」

「否定はしないのね?」

「本当のこと否定してなんになんだよ。」

「それもそっか」

なんだかおかしくなってくすりと小さく笑う。

そうすると一護はなんだよと少し口を尖らせる。

それも一護の照れ隠しだとわかっているから尚面白くて「なんでもなーい」と笑いながら走った。

変わらない毎日に、変わらない風景、変わらない世界に、変わらない私達。

それでいい。

それだけでいいんだ。

ドラマチックな人生も、刺激的な日常もいらない。

ただただ平凡な変化のない毎日の中で、「あぁ今日も退屈だった」そう言ってその微睡みの中で呟いていたい。

例えその平凡の裏で誰が何を隠していようとも、

私は全てから目を逸らす。

嘘はバレるまでは嘘では無いのだから。

私が首を突っ込まなければ私の世界は変わることはない。

彼等が私の元へ帰ってきてくれるのなら影に隠れた不安も全部飲み込もう。

そう思っていた。

私が変わらなければ、変わろうと思わなければ、何も変わらないと。

けれど世界というのはやはり少し意地悪で

私が変化など求めてもいないのに私を変えようとしてくる。

望まぬ運命に巻き込まれ、私の小さかった世界は無理矢理こじ開けられ形を変える。

そしてそれはさも当たり前のように形を変えて私の世界にまとわりつく。

だから気付かない。

私の世界に忍び寄る、運命という名の黒い手に扉が開かれてしまった事に。

そして開かれたその扉の向こうの入っては行けない領域に足を踏み入れて決まったことを私はまだ気付けない。

「少し一緒に来てもらっていいっスか?」

開かれてしまったその先でもう戻れない濁流に飲み込まれた。

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設定タグ:BLEACH , 平子真子、黒崎一護 , 微クロスオーバー   
作品ジャンル:恋愛
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マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは!いつも作品見ています。嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💖 (1月22日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななな | 作成日時:2023年11月28日 20時

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