第13話 ページ14
「せやA、足飾り見せてみぃ」
夜ご飯も食べ終わり茶の間で2人で観音寺という霊媒師の番組を見ていた。
この前酷い騒動に巻き込まれてテレビに映って先生に怒られたんだよねなんて真子くんに話して、あんなとこもう行くなよと少し怒られた時だった。
「あぁいつものね。」
私は自分の左足を差し出す。
そこには銀色のアンクレットが輝いていた。
このアンクレットは私が物心着く頃には既に私の左足にあった。
昔はサイズが少し大きくて少し頑張れば抜けたけれど、今じゃ私の足のサイズが大きくなってしまい抜けなくなってしまった。
こうなる前に外したかったのだけれど、これを外すとじいちゃんにすごく怒られた。
これのせいで小中と水泳の時間が大変だった。
あとタイツも履けない。
万年生足である。
真子くんはその銀色に輝くなんの飾り気のないそれに指先で触れる。
そうするとアンクレットに少し熱が灯り、暫くすると消えていった。
「よし、これで“おまじない”完了や」
「ん、ありがとう。」
そう言ってまたテレビに向き合い、真子くんに寄り掛かる。
そうすると真子くんは私の頭を優しく撫でる。
昔から変わらないその手付きに少し安心する。
真子くんはこのアンクレットを初めて見た時、外させようと必死だった。
けれどじいちゃんと何やら話してからそれはパッタリとおさまった。
それからというもの、こうして真子くんは来る度にアンクレットに触れて“おまじない”をする。
これ何の為にしてるの?と小さい時真子くんに聞いたことある。
そう言うと彼は笑って「Aを護るおまじないや」といった。
「何から護るの?」
「世界からやな。」
その時はスケールが大き過ぎて真子くん変なのと言って笑った。
そうすると彼も釣られて笑っていた。
けれど時が経つにつれてそれが本当に何かの“おまじない”なんだと理解した。
毎回、本当に魔法をかけるように、何かを祈るように真子くんは優しくけれど確かにこのアンクレットに触る。
別に不快感がある訳では無い。
私に害がある訳でも無い。
だから私からは何も言わない。
けれどその左足のアンクレットに触る時、真子くんの瞳が酷く悲しい憂いを帯びる。
顔色や表情が変わる訳では無い。
でもその瞳に宿る底知れない憂いに気づいてしまうほど、私達は近くに居て、お互いがお互いの中でその存在を大きしてきてしまった。
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マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは!いつも作品見ています。嫌じゃなければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💖 (1月22日 19時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2023年11月28日 20時