僕らの存在証明論 (ページ13)

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第12話ページ13

それが人だと気付くのには少し時間がかかった。

元々ガチャガチャでとった玩具のライトだ。

ただその金が光っているようにしか見えなかった。

けれどそれが人だと気づいた時には出てきそうになった悲鳴をギュッと飲み込んで急いでじいちゃんの元へと駆けた。

じいちゃんは若い頃医者だったそうで(一護の親父さんに教えていた時期もあったらしい)、倒れているその人をすぐに抱え布団に寝かせた。

そこからはじいちゃんの独壇場で、幼い私には理解できないなんやらをやっていた。

それから高熱に魘される彼を私はじいちゃんに急に叩き込まれた看病のイロハで必死に介抱した。

彼が目を覚ましたのは私が拾って3日目の昼だった。

その日は天気が良くて、庭に積もった雪が太陽の光に反射し、キラキラと輝いているのを彼の枕元に座りただ呆然と見ていた。

そんな時隣から小さく唸る声が聞こえて私は体制を彼の方に戻した。

ゆっくりと開かれる瞳を見て私は「大丈夫ですか？」と静かに声をかけた。

すると彼は私の顔を認識すると、何かに驚いたように目を大きく見開いて「A？……」と呟いた。

初対面なのに何故私の名前を知っているのかと聞こうとしたら突然腕を引かれ、気づいたら彼の腕の中だった。

頭の上で何か呟きながら苦しいくらいに強く抱き締められる。

“なんで置いていったんや”
“なんでなんも言わんかった”
“もう離さへんから”

そんな言葉が頭の上から降ってくる。

身に覚えのない事に目を白黒させたけれど、頭の中で冷静に幼いながらも理解した。

これは私に向けたものじゃない。

どうにもそれを否定したくて抜け出そうにも力が強すぎて身動きが取れない。

そして降ってくるその言葉に入った思いも全て重く、私の体に伸し掛るような感覚だった。

抵抗するのを諦めた私はじいちゃんが刀を持って入ってくるまでその状態だった。

それから少し冷静になった彼と話し、頭を下げて謝られた。

熱の事もあり混乱していたと話した。

そして彼は平子真子と名乗った。

そこから私達の奇妙な交流は始まった。

恩返しと称して一週間に一度は必ずこの家へお菓子を持って現れた。

面白いし、全力で遊んでくれるし、お菓子を持ってきてくれるし、真子くんを好きになるのには時間がかからなかった。

新しくお兄ちゃんが出来たようで凄く嬉しかったのを覚えている。

こうして真子くんは私の狭い世界に無理くりにねじ込むようにその存在を大きくした。