あなたの残した陽だまり ページ38
「隊長早く早く!」
「ちょっ待てやA。そない急がんくても大丈夫やて」
耳飾りをつけてもらって嬉しくて嬉しくてしょうがなくて隊長の手を引っ張って十二番隊に急いだ。
これを作ってくれた喜助さんとマユリさんにお礼を言いたかった。
十二番隊の隊舎につき平子隊長がまた気の抜けた声で扉に呼びかける。
そして扉が開いたと思うと隣にいたはずの平子隊長は自分より遥か後方に飛んでいた。
「おっす!ハゲ真子に鈴夏!」
そう言って可愛らしく挨拶をしたのは十二番隊副隊長のひよ里ちゃんだった。
私は2人の方に急いで駆け寄った。
「ひよ里ちゃん!隊長の事蹴っちゃダメだよっていっつも言ってるでしょ!!」
「そうやでひよ里!!俺は隊長やぞ!?」
「何ハゲたこと抜かしてんのや!!こんな奴いくら蹴ってもええんやでA!!」
もうっ!と怒り私は平子隊長の顔に回道をかけ鼻血を止める。
「Aだけや俺が蹴られても心配してくれはるの...」
「A!!こんなハゲに心配いらんねんぞ!!」
「何がハゲや!このサラサラストレートが目に入らんのか!?」
「ハゲた顔してるからハゲ言うてんのや!!このハゲが!!」
2人がやいやい言い合っていると「なんや煩いなぁ」と扉からもう一人出てきた。
「なんやAに真子やないか。」
出てきたのは八番隊副隊長の矢胴丸リサさんだった。
「リサさんこんにちは。」
「おうこんにちは。それにしてもあの二人は相変わらずやなぁ。」
まだ言い合いをしている二人を見てリサさんがそういう。
「ん?A、今日は鎖つけてへんで綺麗な耳飾りつけてるやないか?どないしたん?」
「あぁこれ平子隊長が喜助さんに頼んで作ってくれた新しい霊圧制御装置なんです。綺麗ですよね。」
「うん、よぉ似合っとる。」
そう言われ私は嬉しくなり少し頬を染める。
「不思議なんです。平子隊長といると凄く世界が鮮やかに見えて、暖かくて。名前を呼んで貰えるだけで嬉しくて...この耳飾りをつけているだけで自分もキラキラしてるように思えるんです。」
「なんやA。真子の事好きなんやな?」
そう言われ私は首を傾げる。
「好きですよ?もちろん。」
「ちゃうねんそういう好きとあらへん。A、それはな“恋”ちゅうねん。」
ストンと私の中で何かが堕ちる音がした。
そっかこのなんとも言えない不思議な感情は“恋”というのか。
他の人に向ける好きとは違う特別な好き。
凄いな平子隊長といると知らない事をどんどん知れる。
「ありがとうリサさん」
そう言って私は笑った。
118人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
屍乃(プロフ) - 初めまして、屍乃(しの)と申します。傘村トータ様の楽曲、平子真子という推しの話という事で読まさせていただいてます。全体的にすごく好きです。ななな様の作品がこれからも増えるのを楽しみにしてます。応援してます。 (2023年1月23日 22時) (レス) @page41 id: f0eb019efd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ななな | 作成日時:2023年1月2日 23時