あなたの残した陽だまり ページ36
視界が滲む。
平子隊長の手に落ちる水滴を見て自分が泣いていることに気づく。
「あれ?おかしいな...」
そう言ってゴシゴシと目を擦ると
そない擦ると腫れてまうやろと平子隊長が私の腕を掴む。
そしてその大きな手で優しく私の目じりを撫でて涙を拭う。
涙が頬を伝う感触は感じることが出来ないけど
その大きな優しい暖かい手の温度はなぜか感じる事ができる。
「不思議ですね。他のものは触れたってあんまり感じる事が出来ないのに、隊長の温度だけは暖かいと感じる事が出来る。」
「俺もそんな体温が高いわけやないんやけどな。」
「でも隊長の体温はまるで陽だまりのように暖かいです。」
「大袈裟やなぁ」
ならと言ってもう一度隊長は私の冷たい手を取り大きな暖かい手で包み込む。
「これから俺がずっとAの手を暖めといたる。もうAが泣かんようにずっと握っといたる。だからAの事俺に教えてや?」
それでええやろ?
そう言って彼はキラキラと優しい笑顔で笑う。
彼のその笑顔を見ると何を小さい事で悩んでいたんだろうと思ってしまった。
それから私は自分の身体のことを全て話した。
隊長は何も言わず静かに聞いてくれた。
その間もずっとこの冷たい手を暖め続けてくれていた。
話し終わった後私の頭をそっと撫で
今までよく頑張ったなと優しい顔で言ってくれた。
ドクンと心臓が脈打つ。
発作ともまた違う
心地いいような苦しいようなそんな感じ。
何かが心の底から溢れてきそうで
嬉しいのか悲しいのかなんとも言えない感情が出てくる。
知らないこんな感情初めてだ。
なんて言うんだろう。
この感情の名前は一体なんなんだろう。
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屍乃(プロフ) - 初めまして、屍乃(しの)と申します。傘村トータ様の楽曲、平子真子という推しの話という事で読まさせていただいてます。全体的にすごく好きです。ななな様の作品がこれからも増えるのを楽しみにしてます。応援してます。 (2023年1月23日 22時) (レス) @page41 id: f0eb019efd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななな | 作成日時:2023年1月2日 23時