変わらない物を君は探すけれど ページ12
「ねぇ阿近。空の青さはいつまでも変わらないのかな？」
気が抜けるような馬鹿みたいに天気のいい昼下がり
空を眺めながらポツリとAが呟いた。
風が吹いて前下がりに綺麗に切りそろえられた彼女の短い髪が小さく揺れる。
後ろの髪より長い前髪を真ん中で分けているせいもあるから横からでは表情があまりよく見えない。
だけどきっと彼の事を考えているのだということは容易に想像が着く。
彼女は気付いているだろうか。
居なくなった彼らの事を思い浮かべる時彼女は無意識に自分の右耳に着いているその綺麗な耳飾りに手が行く事を。
きっと彼女は変わらないものを探し続けている。
100年前のあの日に彼女の周りも自分の周りも激的に何もかも変わってしまった。
瀞霊廷の中でも時間が経つにつれ彼らのいた証は少しづつ少しづつ消えていった。
彼らを知らない人が増え、彼らが知らない人が増えた。
彼女にとっての100年は傷が癒える100年にはならなかった。
逆に時が経つにつれ彼女の心を蝕んでいく。
けれど彼女はいつだって美しい。
いや美しくなってしまった。
いつまでも捨てられない想い抱えて
そうやって生きてて酷く辛いだろうに
間違っても弱さを人前では見せない。
発作の時は東仙隊長や俺がよく近くに行くけれどやはりどこか壁を感じる。
素直に人を頼れない彼女。
甘え方なんて知らない彼女。
「...さぁな。お前が変わらないと思うのなら変わってないんじゃないか？」
そんな事はありえない。
流れる時の中変わらない物などない。
そんな俺の小さな嘘に彼女だって気付いてるはずだ。
けれどそれが美しくなってしまった彼女を少しでも癒せるのなら俺はいくらでも嘘を付く。
どうか彼女がこれ以上美しくなってしまわぬように。
そしてどうか変化を嫌う彼女に気付いて欲しい。
この100年で一番変わってしまったのは彼女自身だということに。
(泣けない貴女の護り方を俺は知らない。)
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屍乃(プロフ) - 初めまして、屍乃(しの)と申します。傘村トータ様の楽曲、平子真子という推しの話という事で読まさせていただいてます。全体的にすごく好きです。ななな様の作品がこれからも増えるのを楽しみにしてます。応援してます。 (2023年1月23日 22時) (
レス) @page41 id: f0eb019efd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななな | 作成日時：2023年1月2日 23時
