六 ページ7
夜
掃除をしていると女将さんに呼ばれた
何かしたかな?
「なんでしょうか」
「A、貴方
座敷を持とうと思わないかい?」
「え、座敷ですか」
また、滅相も無い
座敷は私は持てないのに
「座敷を持つと言っても指名された時だけ
私は貴方に本当はさせたくないけど。もう、大人ですし出会いも大切でしょう。
指名だからそんな嫌な人は来ないから」
お願い。と頭を下げる女将さんを見て
育ての親に頭を下げさせるのはどうかと思い私は頷いてしまった。
そのようなことから私は夜の世界へと誘われていく。
「え、ご指名されたら相手するの?」
「そういうことになったんですよ。」
細谷さんがその日の夜来たためお話をした
細谷さんも多分驚いただろう
急に待遇が変わるから
と言っても指名がない時はお手伝いをするのでそんな代わりはない
細谷さんは少しだけ身なりが変わった私を見てぽつりと何か呟いた
「?何か」
「ん、いや。
何もないよ」
「…私、本当はお手伝いだけでいいんです」
「なんで?」
「…本当はこういう仕事嫌いだから」
昔、両親のことで色々と思ったことがある。
ここに来たのは5歳ぐらいの時女将さんが私を娘のように育ててきた
本当の両親は女将さん曰く父親、母親農民らしい。だが、母親があることに巻き込まれて大変な目に遭ったらしくそれ以来
生活が苦しくなった
そこで私はここに預けられたということらしい
何があったかは分からないけど凄く
このような世界を憎んでいるような気がした
黙って考えていたら細谷さんが急に私の手を掴んで引き寄せていた
「…え」
「嫌いであれば助けを呼んでいい。
もしも、嫌なお客さんとかが来たら我慢をしたらいけないよ。
自分の声で足で助けを呼びに来るんだ
…俺はあの時の君が女性を助けるところを見てひやってしたんだよ」
「…あの時」
そう呟くと細谷さんは私を抱き寄せてきた
細谷さんの胸の音が聞こえる
「…自分が危ない時には助けを呼ぶ。
これが今のAさんに足りないものだと俺は思うよ」
「……はい」
静かに呟くと細谷さんは私の背中に触れてぐっと力を入れていた
心配してくれてるんだと思う
その気持ちが嬉しくて私は細谷さんの袖を少しだけ強く掴んだ。
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綉 - おはようございます。これって読んで行かないと誰が出て来るとかってって分からないんでしょうかね? (3月15日 7時) (レス) id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
井戸 - うわぁあああ!! はる春さんだぁあ!!この話大好きです! (2019年7月13日 7時) (レス) id: 1e21205b19 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅり(プロフ) - ハル春さんの作品大好きです!更新楽しみにしてます。 (2018年8月8日 23時) (レス) id: 229459fcea (このIDを非表示/違反報告)
ゆかこ - この続きが気になります!! (2018年8月3日 23時) (レス) id: 8ead2b98e6 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - いえいえ!毎日の日課にします! (2018年3月7日 22時) (レス) id: 3c862a1cac (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年2月27日 0時