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十九 ページ20

受付の所の畳に正座してお客様を座敷への通路と部屋を教えながら帳簿に名前を書いていると道具を持った男性が入ってきた

…綺麗な木箱だなぁ

黒塗りで鶴なのか植物なのか絵が掘られていた

その模様がすごく綺麗で筆を持ったままぼーと眺めていると目の前に手がひらひらと横に動いていた


「おい、大丈夫か?」

「…あ、梅原さん」

「あ、生きてた」

「死んでませんよ。

これ、これ綺麗ですね」

「?…あー、仕立てをするための道具が入ってるだけだけど場に応じて合わせないと品がないって言われるからな。…めんどくさいけど」


へぇー、でも凄く手入れがされている

それにちゃんとその場の空気に合わせてやるんだから凄いだろうな

「それって梅原さんが考えついたんですか?」

「いや、これは俺の………あ、なんでもない」

「…?」

梅原さんは何か言おうとしたが言葉を止めて言わなかった。

何か…聞いてはいけないことだったかな

まずいことをした。

どうしようと思っていると梅原さんは私の方に手を伸ばしてきて筆に触れた

「さっきから言いたかったんだけどさ

これ、筆一度置いた方がいい。」

「へ、あ、ですね」

何筆を持ったまま固まってるんだよ。
自分に呆れながら筆を置くと梅原さんは私に紙を見せてきた

墨で繊細な字が書かれている

この字は


「お菊さんはどこの部屋で?」

「あ、お菊さんは突き当たり奥の右手の部屋です。」

「へぇー、突き当たり奥の…Aさん俺上手く分かんないから案内して」

「へ?そ、え」


そう言って無理矢理腕を掴まれて立たされた

何度も来てるから分かるでしょうがと思ったが渋々と右足を動かそうとしたら

「っ!?」

思うように動かずその場に座り込んでしまった


「どうした?」

「あ、あ」

「あ?」

「足、足が」

「……ほー」


急に立ったから足の痺れが凄く強い

腕は掴まれたままだが足を見て動かそうとしていたら道具箱が足にこつんっと当たってきた

「っあ、!?」

「お、ここか。」

「梅原さん!!」

「はははっ、ごめん。

いやー、足がーって」

笑い事じゃないんですよ
立ちたいのに

涙目になりながら梅原さんの方を睨むと梅原さんは笑いを堪えてあることを言ってきた

「足の痺れをとる方法は正座して痺れてる足の上に片方の足を重ねて座る。」

「…え?」

「俺は嘘はついてませんが?」


その自信満々の顔を見て私は反論する気力も失われた。

二十→←十八



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- おはようございます。これって読んで行かないと誰が出て来るとかってって分からないんでしょうかね? (3月15日 7時) (レス) id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
井戸 - うわぁあああ!! はる春さんだぁあ!!この話大好きです! (2019年7月13日 7時) (レス) id: 1e21205b19 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅり(プロフ) - ハル春さんの作品大好きです!更新楽しみにしてます。 (2018年8月8日 23時) (レス) id: 229459fcea (このIDを非表示/違反報告)
ゆかこ - この続きが気になります!! (2018年8月3日 23時) (レス) id: 8ead2b98e6 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - いえいえ!毎日の日課にします! (2018年3月7日 22時) (レス) id: 3c862a1cac (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2018年2月27日 0時

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