十四 ページ15
座敷にいると何も無い時は凄く暇になる。
女将さんは今日お客様が私のもとに来るよと言ったので私を綺麗に着飾りたいと言っていた
似合いもしないものを着るのは嫌だな
紺色の着物に髪を少しだけ綺麗に結ってもらった
そして少しだけ薄化粧
なんでこんな格好してるんだろう
ていうか誰が来るんだ
ぼーと窓の外の風景を見ていると耳元で誰かが囁いた
「綺麗」
「っ！？、う、わ」
後ろを振り向くと細谷さんが驚いた私を支えていた
…あ
「…細谷…さん」
「あれ、この紅は薄いのだ。
…どこのかな」
「………あ、あの」
「あ、綺麗だよ。
俺びっくりして違う人かと思っちゃった」
「…驚かしたくせに」
「ごめん。
…俺相手にこんなかしこまった格好しなくていいのに」
細谷さんはそう言うと机の上にあったお茶を手に取っていた
…お酒
飲めばいいのに
机の方に移動してお酒に手をかけるとその手を掴まれた
「…え」
「何してんの」
「い、いや。
細谷さん飲まないのかなぁって」
ま、間違えたかな？
すると細谷さんは手を離してお茶を私に渡して言った
「飲めるけど
酔って変なことしても知らないよ」
「へ、変なこと」
「そう、変なこと…嫌でしょ？」
お茶を持つ両手が少しだけ震えた
…でもお客様にお酒を飲ませないとなると駄目だよ
ちゃんと…接待をしなくては
黙って首を横に振る
このままじゃ駄目
すると細谷さんは黙ってお酒を注いで飲んでいた
…黙って飲むのかな？
お姉様方の話では稀に居るとか居ないとか
その時は話しかけたりもするけどほっとくとか
え、どれが正しいの？
私…何か間違えた？
お茶を飲もうにも飲めなくて湯呑みを見てると急に湯呑みを取られて何かが私の唇に触れた
…あ
「…酔ったら何するか分からないよ？」
「……っ、え」
「接吻以外のことだって出来るんだからさ」
顔に体温が集中するのが分かった
細谷さんの言っていることはあっている
でも
「な、習ったんです。
お酒をって」
「…お話ができるだけで俺はいいよ。
お酒は飲めるけどもしもがあるからね」
そう言うと細谷さんは私の頭を軽くぽんっとしてからお茶を飲んでいた
…変な気はない…か
さっき唇が触れたのにな
そう考えていると細谷さんはため息をついていた
「その…さっきはごめん。
無理やり」
「？…あ、わ、私もごめんなさい」
お茶を飲む細谷さんは目を細めながら私を見て笑っていた。
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綉 - おはようございます。これって読んで行かないと誰が出て来るとかってって分からないんでしょうかね？ (3月15日 7時) (
レス) id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
井戸 - うわぁあああ！！ はる春さんだぁあ！！この話大好きです！ (2019年7月13日 7時) (レス) id: 1e21205b19 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅり(プロフ) - ハル春さんの作品大好きです！更新楽しみにしてます。 (2018年8月8日 23時) (レス) id: 229459fcea (このIDを非表示/違反報告)
ゆかこ - この続きが気になります！！ (2018年8月3日 23時) (レス) id: 8ead2b98e6 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - いえいえ！毎日の日課にします！ (2018年3月7日 22時) (レス) id: 3c862a1cac (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年2月27日 0時
