十 ページ11
「梅ちゃん、俺ら二人でこれを運ぼうよ」
「え？」
「いやー、丁度俺も帰らなくてはならなかったし
Aちゃんも一緒に帰ろう？」
そう声をかけると下を向いていたAちゃんが少しだけ嬉しそうに頷いた
任せられない性格なのは知ってるから
それを聞いて梅ちゃんはため息をついて歩き出していた
「梅原さん、私持ちます」
「いい。こんな重いのよく引き受けるよな」
「Aちゃん以外の人はしないの？」
「…んー、まぁ、はい」
しないというか面倒くさいんだと思うな
先を歩く梅原さんを見て申し訳ない気持ちでいっぱいになっていると西山さんが私の頭を撫でてきた
「？、え」
「偉いなぁとね。
普通誰かを誘ったりするのにさ。
でも自分の体を無理しては駄目だよ？
Aちゃんは一人なんだから」
それを聞いて私はこくりと頷くと西山さんはにっと笑って笑顔だった
そして、玄関に着くと梅原さんは野菜をおろしてくれた
まさか本当にここまで運ぶとは
お二人に頭を下げると梅原さんは私の着ている着物を見て呟いた
「襷掛けをするからか袖に気をつけろよ」
…え？袖？？
そう思い袖を見ると糸が出ている箇所があった
まさか
あの短時間でどうやって見分けてるんだ
袖の糸を見ながらそう考えていると西山さんが梅原さんに話しかけていた
「梅ちゃんって本当に職人さんだね」
「うるせぇ」
「褒めてるのに」
そんな会話をする二人を見ていると梅原さんが私の方を向いて袖に触れてきた
「え」
「…今度直してやるよ」
そう言ってすぐに離れてしまった
あ、
てことは来るのかな
この人
やっぱり昨夜のは本当だったんだ
「ありがとう、ございます」
「いえいえ」
そう言うと梅原さんは街の方へと歩いていってしまった
「…梅ちゃんは変わってるよね」
「え？」
「あ、あの人梅原さんのこと
幼い頃ある呉服屋の旦那さんに修行入りして今では一人で店を持つぐらいになったんだって。
…結婚しないのかなぁ」
「…へぇ、そうなんですか」
「そう。
Aちゃん。梅ちゃんから聞いたけど座敷を持つって本当？」
っ！？ばれてる
黙って頷くと西山さんは私の目線に合わせおでこをこつんっと私のおでこに当ててきた
「…？」
「…Aちゃんには来て欲しくなかったな」
「し、仕方の無いことですよ」
「…うん。
俺も色々あるけど必ず来るからね？」
「…え」
「Aちゃんに会いに来る」
そう言う西山さんの目は凄く真剣だった
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綉 - おはようございます。これって読んで行かないと誰が出て来るとかってって分からないんでしょうかね？ (3月15日 7時) (
レス) id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
井戸 - うわぁあああ！！ はる春さんだぁあ！！この話大好きです！ (2019年7月13日 7時) (レス) id: 1e21205b19 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅり(プロフ) - ハル春さんの作品大好きです！更新楽しみにしてます。 (2018年8月8日 23時) (レス) id: 229459fcea (このIDを非表示/違反報告)
ゆかこ - この続きが気になります！！ (2018年8月3日 23時) (レス) id: 8ead2b98e6 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - いえいえ！毎日の日課にします！ (2018年3月7日 22時) (レス) id: 3c862a1cac (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年2月27日 0時
