十六 ページ17
「…出ていけ」
低い声が耳元で響いたと思うと男は慌てて出ていった
「…櫻井さん？」
「…お前は馬鹿か？」
「………っ、馬鹿だってなんですか！」
「俺があのまま止まらなければお前死んでたぞ？」
怒った感じの櫻井さんがそう私の目を見ながら言ってきた
そんなの分かってるよ
もしもあのまま櫻井さんが止まらなければ私は今頃医者のところだ
けど
「…止まるって思ってたんです」
「本当にAは馬鹿だよ」
櫻井さんはそう言うと私を抱きしめてきた
「櫻井さん、きつい」
「驚いた。まさかこうなるとは」
「櫻井さんはみんなのまとめ役なんですから。しっかりして下さい」
「うん。…Aさんごめん俺、呼び捨てで言ってた」
「大丈夫ですよ。気にしないので」
あの呼び捨て
無意識かと思ったけど違うのかな？
櫻井さんの刀を元に戻して襖を直していく
綺麗に外れただけでよかったな
すると
「Aさん、怪我ない！？」
「あ、木村さん」
木村さんが急いで私のところに来て手や肩に触れてきた
「…よかった」
「私は大丈夫ですよ。心配しなくて」
「あの櫻井さんを止めたって凄いな…お見事」
「いえいえ。そんな」
ははっと苦笑しながら襖を直していく
案外あの人怒ったら怖いな
というか何であんなに怒ってたんだろう？
不思議だな
あの男からして
金か男か
でもな
分かんないな
んーと考えていると木村さんが私の肩に触れてきた
「ここ、おかしな人が多いから気をつけてね」
「あははっ、はい。…そういえば木村さん今日当番は？」
「あるよー。今から」
この人も大変だな
人気の花魁さんはいつでも仕事が入って休みがないから忙しんだよな
その時木村さんが私の首を見て一瞬戸惑った
ん？
「何か？」
「…これ、誰につけられた？」
「え？」
これ
花魁の立花って言えよ
あのときの言葉が蘇る
どうしよう
なんて
木村さんが私の手首をつかんできた
「これ、誰？」
「っ、これは！虫です！
ちょっと蚊に。それで痒くかいたんです」
嘘をついた
あまり付きたくないのに
木村さんはそれを聞いてジーと私を見たあとふーんと言って私の手を自分の口に当ててた
え
チクッ
「いっ」
「なら、俺も付けようかなぁ
手首に」
チリっとした痛みが走る
首よりも見えるからある意味痛い
すると木村さんは
「悪い虫にはご用心を」
そう言って私の肩に触れて仕事場へと行った。
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はるか(プロフ) - すごく面白いです。いつもドキドキしてます。更新頑張ってください！！ (2017年8月22日 19時) (
レス) id: efe91ed229 (このIDを非表示/違反報告)
銀 - あの、すいません、「十一」の話の「立花さん」が、「立場さん」になっていると思います。間違ってたらすいません (2017年7月22日 12時) (レス) id: c9821ec644 (このIDを非表示/違反報告)
青りんご(プロフ) - 世界観がすごく好きです。毎回更新されるたび嬉しくてすぐチェックしてしまいます^ ^応援しています！ (2017年7月18日 15時) (レス) id: 591376f718 (このIDを非表示/違反報告)
聖(プロフ) - すっごくすっごく面白くて、更新楽しみにしてます！これからも頑張って下さい！ (2017年7月9日 0時) (レス) id: fee5a8ae7a (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - いい、、ですね、、、これからも応援してます！(゜▼゜＊） (2017年7月4日 16時) (レス) id: 503188b34f (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2017年6月9日 13時
