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はい、待ってました放課後。
俺の教室は1階なので、帰りはいつもAがこちらへ来てくれる。
「あれ、遅いな」
教室はもう俺以外誰もいない。
最初は女の子たちが教室でだべっていたけど、その子たちもいつの間にかいなくなっていた。
流石に変だなぁと思い、俺は彼女の教室へ様子を見に行く事にした。
*
俺は、急遽コンビニで買ったポカリとゼリーが入ったレジ袋をスクバに押し込みながら走っていた。
「早退した?」
「そう、なんか具合悪いって三時間目から保健室行っててね。それでそのまま。風邪ひいたみたい」
教室にまだ残っていた日直の子がそう教えてくれたのだ。
しばらくしてAの家に着いて、俺はインターフォンを押した。
「__はい」
Aの声じゃない。お母さんっスかね?
「えっと、黄瀬涼太と言います。その、A……サンのお見舞いと、学校で配られたプリントを届けに来ました」
「あぁ、わざわざありがとう。今あけますね」
プツ、とインターフォンがきれて少しして、ドアがあいた。
出てきたのはスラリとした大人の女性。肩下くらいの長さの髪を一つにくくっている。やっぱりお母さんだったみたいだ。目元とかAとよく似ている。
そして直接会うのは地味に初めてだったりする。
「えっと、こんにちは。これ、プリントで、こっちはお見舞いというか、ゼリーとかなら食べやすいかなって」
さっき日直の子に押し付けられたプリントとコンビニの袋をおずおずと渡す。
「ありがとうね。きっと、喜ぶわ」
Aのお母さんは、Aと同じようにふふと微笑んだ。
「お大事に、と伝えてください。じゃあ、俺はこれで__」
帰ろうとしたその時
「あれ、きせくん……?」
部屋の奥からひょこりとAが顔を出した。可愛い兎柄のパジャマ姿で額には熱冷まシートがくっついている。その様子はやっぱり熱っぽく、息があがっていた。
「わざわざ、きてくれたの?」
「うん、教室行ったら日直の子が早退したって教えてくれてさ。心配だったから来ちゃったっス。ごめん、体調悪いの気付いてあげられなくて」
よく考えれば昨日の帰りもちょっとボーッとしていたというか、様子が変だった気がする。
「きせくんのせいじゃないよ。わたしこそごめんね、しんぱいかけちゃって。だいじょうぶだよ、すぐなおるから」
Aはふにゃりと笑った。
こんな状況で不謹慎だけど、弱ってるAにときめいたのはここだけの話である。
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辻村行人(プロフ) - とても面白いです!お体に気をつけて更新頑張ってください! (2019年6月30日 5時) (レス) id: dc0e03a692 (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 美紀さん» 美紀様、コメントありがとうございます。お返事大変遅くなりました。本当に申し訳ないです……。黄瀬くんいいですよね!更新止まってしまっていてごめんなさい。はやく完結させられるように頑張ります……っ (2019年6月13日 14時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 涼太君大好きです最高です (2019年3月10日 15時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 楼莉さん» 楼莉様、コメントありがとうございます〜!黄瀬くん可愛いと言っていただけて本当に嬉しいです!私事ですが、楼莉様の「ケンカップルが通る」を読ませていただいています。真ちゃんと主人公ちゃんのやり取りが本当に可愛くて……。お互い更新頑張りましょうね(o´・ω-)b (2018年7月23日 14時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
楼莉(プロフ) - 黄瀬くんがすっっっごく可愛いです!!!今後も楽しみにしてます! (2018年7月22日 18時) (レス) id: 7ad08e5261 (このIDを非表示/違反報告)
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