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「……、」
どのくらい眠っていたのだろう。
目を覚ますと、黒を基調とした殺風景な部屋にいた。
もう何度も訪れた、交際中の彼の部屋。
と言っても、この部屋は彼の本当の拠点ではないようだ。
“喰種対策局一等捜査官”としての彼はこの部屋に住み、生活している_______というだけの話で。
詳しくは知らない。
知りたいと思ったこともなかった。
「ん〜…」
もぞもぞ。
布団の擦れる音につられて視線を移すも、隣で眠るその男は未だ寝息を立てていた。
相変わらず、憎らしいほど端正な顔立ちの男だ。
白く整った肌、真っ直ぐに通った鼻筋。
長い睫毛とぷるっとした唇。
閉ざされた涼しげな目元すら色っぽい。
彼の無防備な寝姿を見るのは嫌いじゃない。けど。
「二福?」
「………」
「二福起きて、朝」
「んー…」
「遅刻、しちゃうよ」
「……A」
ぎゅ…
腰に回された長く細い腕に引き寄せられる。
絡められた足にがっちりホールドされ、身動きも取れない。
寝起きでとろんとした表情さえも美しいこの男は、上目遣いで頬を寄せてきた。確信犯である。
「…おはよう」
「A」
「なによ、にむ」
「…したくなっちゃった」
「………」
「痛いっ!!!!」
太ももを思い切りつねってやれば、わざとらしく痛がって反対側へ転がっていく。
昨夜もさんざん求められてへとへとなのに、どうなってるのよあんたは。
「うう… ひどいよ〜 痛いよう…」
しくしく…と顔を覆ったまま動かない二福。
はいはい、猿芝居はやめなさいねー。
「シャワー借りるね」
「… ご自由にどうぞぉ」
気だるげな返事に続いて、要求が通らずげっそり。
とでも言いたげな盛大なため息に見送られる。
見た目の麗しさはどこ行った。
ほんと、大きな子供なんだから。
服の上からはギリギリ見えない肩口の噛み傷にそっと触れながら、脱衣所へと向かった。
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ちぱるん(プロフ) - 旧多くん好きなのでこう言う作品が読めて嬉しいです!更新頑張ってください! (2018年5月21日 0時) (レス) id: beb8c0ac9c (このIDを非表示/違反報告)
氷麗(プロフ) - nekosugiさん» コメありがとうございます! わかりみです.。存在えろいですよね…← (2018年4月24日 0時) (レス) id: 9c73c754f5 (このIDを非表示/違反報告)
nekosugi - 旧多君イケメンや!! (2018年4月23日 19時) (レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2018年4月21日 7時