検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:8,065 hit

*01 ページ1

.







「……、」






どのくらい眠っていたのだろう。
目を覚ますと、黒を基調とした殺風景な部屋にいた。



もう何度も訪れた、交際中の彼の部屋。



と言っても、この部屋は彼の本当の拠点ではないようだ。



“喰種対策局一等捜査官”としての彼はこの部屋に住み、生活している_______というだけの話で。



詳しくは知らない。
知りたいと思ったこともなかった。








「ん〜…」







もぞもぞ。
布団の擦れる音につられて視線を移すも、隣で眠るその男は未だ寝息を立てていた。



相変わらず、憎らしいほど端正な顔立ちの男だ。


白く整った肌、真っ直ぐに通った鼻筋。
長い睫毛とぷるっとした唇。
閉ざされた涼しげな目元すら色っぽい。


彼の無防備な寝姿を見るのは嫌いじゃない。けど。








「二福?」


「………」


「二福起きて、朝」


「んー…」


「遅刻、しちゃうよ」


「……A」









ぎゅ…
腰に回された長く細い腕に引き寄せられる。



絡められた足にがっちりホールドされ、身動きも取れない。



寝起きでとろんとした表情さえも美しいこの男は、上目遣いで頬を寄せてきた。確信犯である。








「…おはよう」


「A」


「なによ、にむ」


「…したくなっちゃった」


「………」


「痛いっ!!!!」







太ももを思い切りつねってやれば、わざとらしく痛がって反対側へ転がっていく。


昨夜もさんざん求められてへとへとなのに、どうなってるのよあんたは。






「うう… ひどいよ〜 痛いよう…」






しくしく…と顔を覆ったまま動かない二福。


はいはい、猿芝居はやめなさいねー。








「シャワー借りるね」


「… ご自由にどうぞぉ」







気だるげな返事に続いて、要求が通らずげっそり。
とでも言いたげな盛大なため息に見送られる。



見た目の麗しさはどこ行った。
ほんと、大きな子供なんだから。



服の上からはギリギリ見えない肩口の噛み傷にそっと触れながら、脱衣所へと向かった。

*02→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
57人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちぱるん(プロフ) - 旧多くん好きなのでこう言う作品が読めて嬉しいです!更新頑張ってください! (2018年5月21日 0時) (レス) id: beb8c0ac9c (このIDを非表示/違反報告)
氷麗(プロフ) - nekosugiさん» コメありがとうございます! わかりみです.。存在えろいですよね…← (2018年4月24日 0時) (レス) id: 9c73c754f5 (このIDを非表示/違反報告)
nekosugi - 旧多君イケメンや!! (2018年4月23日 19時) (レス) id: f7266d588f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆきんこ | 作成日時:2018年4月21日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。