【東京喰種:re】賞味期限切れの恋【平子丈/伊東倉元】

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「彼氏いたことあったの………」






実に驚愕すぎて糸目愕然。
面白いくらいに動揺する倉元。



馬鹿だな。お前も。
今まで何人かの女の子には言い寄られてたくせに、
持ち前の愛嬌でやんわり断っては独り身を貫く。



いつもふざけてチャラついたガキだと思ってたのに、
しっかり芯が通ってて一途で真面目だよな。



むかつく生意気な年下のガキに、ちょっとチャンスを作ってやりたくなった。






「なあ、お前がやりゃいいんじゃねーの」






何を、と言いたげなのは倉元だけで、
根津、梅野、武臣までも納得といった様子で頷いた。


Aは大人しく、事の成り行きを見守る体勢。
馬鹿だが勘のいいAは、意外にもこういう時空気を読む。







「その囮捜査、お前がやってやれ。
そういう小細工とか演技とかできそうなのはウチじゃお前か…まあ、丈さんくらいだろ。


でも丈さん相手じゃAは調子乗ってテンパりそーだし。
倉元の方が、Aも、やりやすいだろ。」





暗に“男として見られてないから”と言っているようなもんだが…


その認識を払拭するチャンスは、非日常で掴むしかない。






「俺はいーと思うぞ」


「賛成だ。というか、お前がやるといえば皆納得したんだ。
Aから彼氏になってくれなんて、言えないだろ」






いや、あの宇井特等にぶっ込んでたけどな。
彼氏になってくださいです〜にこにこ。って。





「俺も、賛成です。
伊東一等、よろしくお願いいたします」


「ほら、全員一致だ。どうする」







どうする、と言いつつ、もう選択肢は残ってないけどな。


あとはふたりで決めてくれ。






「ちょ、…まじか。
あ〜、A。俺は、作戦のために精一杯やるよ。


俺で、いい…？」





たかが作戦で恋人になってくださいってだけなのに。


真面目か、お前は。





「ちょっと心配なこともあるけど…


倉元せんぱいなら、うまくやってくれそうです。
私も、安心できるですよ」






丈さんにはサポートをお願いした方が良さそうですし。
と付け足して。
Aも、無事了承したようだ。






「よし、そうと決まればとっとと挙げちまうぞ。



ここからが作戦開始だ。
班長戻ってくるまでに話進めてやろうぜ。」







かましたれ、倉元。

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