【東京喰種:re】賞味期限切れの恋【平子丈/伊東倉元】

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油断したわけじゃなかったの。



相手の喰種の初動で、一人で挑んでも勝率は5分と判断していた。



それでも慢心でなく勝てると思ったし、退くわけにはいかなかった。



だって私は、喰種捜査官だもん_______









「ｾﾞｪ… ﾊｯ…」







血。あったかい。ううん、熱い。



頭がとろけて、体は鉛みたいに重たかった。



なんとか致命傷は避けたけれど、肩に空いた風穴は体の自由を悉く奪って行った。



もう戦えない？ううん、戦いたい_______







「ﾊｧ…，丈さ、ん…」






遅かったのかもしれない。
助けを呼ぶのが。
自分の実力を、計り損ねたのかな。



遠くなる意識を必死に繋ぎ止める。



見上げる喰種の顔は、楽しげに歪んでいた。







「勢いだけはあったが…あっけなかったな」



「ﾊｯ.ﾊｯ… ぅ…ま、だ…！」






負けたくない終わりたくない戦いたいお願いお願い。



動いてよ、だって_______






「んのっ…」


「ばっ…？！」






痛いのなんか、気にならなかった。



今、この瞬間を切り抜けなければ私は死ぬ。







「ぶっこわれろよ…！」







その恐怖に比べたら、吹き出す血も、穴の空いた体も、なんにも感じないくらいですよ。








_______ｶﾞｧｯｯ






肉を裂く音がして。







_______ﾄﾞｻｯ








目の前に転がる、首。



殺意を剥き出しにしたまま私を捉える眼球は、もう、動くことは無かった。

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