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#22【過去編】 ページ25

5年前。
マリアが突破されたと聞いたのは、壁外調査から帰って来た後だった。怪我をしていなくて、実力も上々のA、ミケ、ハンジ、リヴァイはすぐさま、シガンシナへと向かった。


「……酷い……」
「これは、予想外だな」


Aに続くように、ミケも呟く。100年の安寧を守ってきた壁が壊され、住民達の混乱がデカすぎる。そのせいで避難が大幅に遅れ、多くの犠牲が出ていた。街中に広がる血と肉塊。思わず顔を顰めてしまうほどの血臭。

この光景を言葉で表現するなら、"地獄絵図"だ。A達4人は、東西南北に分かれて巨人の討伐にあたった。


(……こっちは、巨人の数も凄い…)


Aが来たのは、南端。破壊された壁付近だ。前線なだけあって、巨人の数も凄い。ガスの配分に気を付けながら討伐する。


(……?)


ふと、Aの目に止まった駐屯兵と、抱えられてる子供。その視線の先には、巨人に掴まれてる女性が。考えるより先に、体が動いていた。トリガーを振りかぶり、刃を外す。ぐるぐると円を描きながら飛んだ刃は、巨人と腕を切り離した。ガスを最大にふかして、女性を受け止める。


「あ、あの…!……大丈夫……ですか…?」
「はい……ありがとう…ございます…」


その人は、カルラというらしい。カルラさんを、避難船まで運んだ。


「!母さん」
「叔母さん!」
「エレン…ミカサ…!」


緑の目の少年が、エレン。マフラーの女の子が、ミカサ。金髪青眼の少年が、アルミン。Aは、その3人の近くに、カルラを横たわらせた。


「怪我してるから、ちゃんと見てあげてね……エレン君、ミカサちゃん、アルミン君」
「ありがとう!お姉ちゃん、名前は?調査兵団の人!?」


エレン君が、あまりにもキラキラした目で見るから、Aは、敬礼して見せた。


「調査兵団所属、A・ローレンです。皆、生き延びて」


(不謹慎かもしれないけど)
(この瞬間)
(私の心の中は達成感でいっぱいだった)

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作者名:瑚闇 | 作成日時:2020年10月22日 0時

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