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街に着いたAと、ミケは、休憩がてら少し早めの昼食を摂ることにした。
「ミケは、今日、何の用で……街に来たの…?」
「特に無い」
「へ……?」
思わず、素っ頓狂な声が出た。かなり間抜けな顔をしてるAに、ミケは肩を震わせて笑う。
「な……わ、笑わないでよ……」
「悪い悪い。お前が、あまりにも間抜けな顔をしてたからつい、な」
「…ぅ……み、ミケの……馬鹿……」
顔を赤くしたAは、そう言って目線を逸らす。そんなAの頭を撫でて、もう一度謝った。
「何も、用が無いのに、街に来たの…?」
「あぁ。ずっと本部に居ても、息が詰まるしな」
「そ、そうだね……」
店を出て、適当に街中を歩く。こうして見ると、とても平和だ。まるで、5年前の事が無かったかのように。それが、嬉しくもあり、悲しくもあった。
(……あの件で、沢山の命が犠牲になったのに……)
陥落時もそうだけど、1年後のマリア奪還作戦はもっと犠牲者を出した。25万人も民間人を連れて行って、帰って来れたのは、数百人程度。そんな物思いにふけっていたら、ミケの指が眉間をぐりぐりした。痛い。
「ミケ……い、痛いよ…?」
「悪い。それより、眉間の皺、癖になるぞ?」
「ご、ごめんね……」
「謝ることは無いだろ?」
(すぐ、謝る癖は直らないな)
(うぅ……努力…してる、つもり……なんだけど……)
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作者名:瑚闇 | 作成日時:2020年10月22日 0時