#12 ページ14
非番の日。Aは、小走りで馬小屋に向かっていた。何を着れば良いか分からなくて、ハンジに相談したら、ヘアメイクと、軽い化粧とかで、かなり時間がかかった。(半分遊ばれてたような気がするけど)
「み、ミケ!ごめんね…!…待たせちゃって……」
「平気だ。それより……」
そこで言葉を区切って、じっ、とAを見る。白のブラウスに、薄紫色のプリーツスカート。髪の毛は、ハーフアップにされていて、長めの前髪は横流しにしてある。薄めに化粧が、ガラッと雰囲気が変える。凄く綺麗で、大人っぽい。
「……え、えと……変……かな…?」
「いや。凄く綺麗だ。似合ってる」
「…あ、ありがとう……」
Aは、照れくさくなって俯いた。そう言うミケだって、凄くかっこいい。なんて言えたら、良いのにな…と、Aは思った。
「A、ちょっとごめんな。暴れるなよ」
「へ……?……って……わぁっ…!?」
ミケに抱き上げられて、ミケの馬の後ろに横向きで乗った。その後、前にミケが乗る。
「ちゃんと掴まってろよ」
「う、うん……」
恐る恐るミケのお腹に、手を回した。ミケは、それを確認して馬の腹を蹴る。馬の蹄の音。風を切る音。人の話し声。様々な音が飛び交う中で、Aの耳に届いたのは、バクバクと高鳴るA自身の心音だった。
(こうやって)
(何でもスマートに出来て)
(優しくてかっこいいミケが)
(好きだ)
(訓練兵時代からずっと)
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作者名:瑚闇 | 作成日時:2020年10月22日 0時