検索窓
今日:10 hit、昨日:30 hit、合計:660,738 hit

キスはお預け ページ12

端整な容姿にある時は冷酷な表情を映すハク。でも、今だけはきっと彼は私のもの。そして、私も彼のもの。彼に支配されている。
女の性というのか、そのことが物凄く幸せだった。

合わさった唇がやんわりと押し開けられる。ディープキスかな、と思って心の準備をした。彼の舌が口内に入ってきて、歯列の裏側を探り始めた。次にあっという間に舌を捕まえられ、蛇のように絡み付かれる。いやらしい音がした。

身体の力が抜けて快楽を感じた時、不意に彼の下が動きを止めた。不思議に思ってうっすらと瞳を開くと、ハクは私の向こうを猫のような翡翠の瞳で見据えていた。彼は私に目配せすると、頭を後ろを支えていた手を下ろし、するりと頬を撫でた。最後に私の舌先を唇でちゅっと軽く吸い上げ、それから唇と唇を離した。
何故やめたのかわからなくて、私は困惑の表情で彼を見つめた。


「ハク……? なんでやめるの? 私、ハクともっとしたい」


ハクはそれには答えず、無言で私の頭を優しく撫でた。
互いの間に繋がった銀の糸が重さに耐えきれず弛んだ。彼は親指で私の口元を拭ってから、自身にも同様に拭い、そして私の背後を睨み付けた。


「いつからそこに居た。人の恋路を覗き見るとは、大層な御趣味だな」


一瞬私に言っているのかと思った。でも、流石にそれはないと思い振り返ると、不機嫌そうな表情をした美影さんが立っていた。


「……! 美影さん!」

「神々の通る神聖な場所でこんな事するあんたが悪いでしょ。可愛い彼女に夢中で僕の気配にも気付けないなんて、饒速水 琥珀主の名も廃ったもんだね」

「湯屋の全員をドン引きさせたゲロッ吐きには言われたくないな」


ハクは笑みを浮かべているが、微笑んでいるとは思えないほど目の力が強く凄みがある。きっと物凄い怒っているんだろう。
美影さんは何故こうもハクの機嫌を悪くしてくれるのだろうか。
溜息を吐いて振り返ると、美影さんはもろに真黒な瞳でハクを睨み付けていた。2人の視線の間に、現世で見たハリー・ポッターの魔法対決のような火花が散っている気がした。
美影さんがじり、と私ににじり寄った。


「僕はAに用事があったんだよね」

「Aはそなたの用事等に割く時間はない」


ハクは私を守るように、片腕でぎゅっと私を引き寄せた。容赦なく抱き締められて、頬が彼の意外と厚い胸板に密着する。ゆったりとした心臓の鼓動が聞こえて、頬が一気に熱を持った。
私はハクの数倍ドキドキしてるというのに。

例え不幸を呼んでも→←映画みたいね?



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (363 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1081人がお気に入り
設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , カオナシ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

美音 - なんだろう…美影さんを内山昂輝さんの声で再生してしまうの… (2022年1月10日 7時) (レス) @page33 id: c6a6e435a8 (このIDを非表示/違反報告)
サリナ(プロフ) - 季紀さん» この書いた作品全てを消して悪女が出る作品を書いてください!m(__)m (2018年4月4日 17時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 感動しましたので一度この作品の削除(変換)して夢主とハクが結ばれる作品を書いてくださいませんか?お願いしますm(__)m (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 紫蘭さん» はい、してます!笑 というかばり白澤様です笑 (2017年1月23日 9時) (レス) id: e2d49320a9 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 間違いだったらすみません……。白澤様がどうして『鬼灯の冷徹』の白澤様にしか見えません(´;ω;`)← もしかしてモデルにしてますか!? (2017年1月21日 23時) (レス) id: 4fa9a25ace (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:kiki | 作成日時:2014年12月28日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。