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映画みたいね? ページ11

コハク川に落ちた次の日も。

幼い私は千尋に向かって笑顔で喋りかけた。


『ちひろ、竜さんきれいだったねー!』


すると彼女は不思議そうな顔をして。


『……え? 私1人しか川に落ちてないのに、何でAが知ってるの?』


って。
千尋は私も川に落ちたことを覚えていなかった。

その時胸に浮かんだのは、その竜が愛おしそうに千尋を見つめていた姿。それに、激しい嫉妬の感情。
私はどちらかというと幼い頃は引っ込み思案で落ち着いていて、「良い子だね」とは言われるものの大人達が真に可愛がるのはいつも千尋だった。
千尋はどこか他人を惹きつけるところを持っている。皆がそれに惹き込まれ、私はただいつも後ろの方で愛想笑いを浮かべている役なのだ。

竜、つまりハクだって決して例外ではなくて。
私が湯屋に来たばかりの頃は、ハクはまだ千尋への想いを断ち切れていなかったと思う。本人も否定してなかったし。
ハクと付き合っても尚もいつか千尋とハクが復縁したら私は1人になるのかな、と感じていた。

でも。
もう信じてもいいのよね?
少し重い女みたいだけど、ハクには私だけって、信じても――良いのよね?


「Aが安心するまでやめない。私はそなたといるだけで胸が苦しい程に高鳴るんだよ。本当はそなたを息が止まるほど強く抱き締めたり、頭が真白になるほど激しく唇を奪い去りたい。その首筋に口付けて私だけの紅い印を残し、柔肌に触れて喘がせてやりたいと願う。それらがそなたを抱きたいという思いに変わってゆくんだ。千尋じゃなくて、私がこの世界で見つけて愛したそなたを」


映画みたいな愛の告白。最後の方が少しあれだけど。
……なんかもう、照れて言葉が出ません。

私を抱き締める両腕の力をそっと解いて、ハクに向き合う形で方向転換した。彼の胸へ熱い額を預ける。


「……なんなら、愛っていうやつ今から確かめてもいいよ?」


2回目の夜。
今ならいくらでも彼に捧げられる気がした。


「――本気にするよ」


ハクがゆっくりと私の背に手を回した。


「いいよ」


そう答えると、一気にその腕に力が入ってぶつかるほど強く身体を引き寄せられた。引き寄せられたのは身体だけじゃない。
身長の高い彼が身体を屈めたのが分かったので、来るかな、と思って目を閉じた。数秒後、真暗だけど温かい視界の中で柔らかい唇が私のそれに触れた。
最初はちゅっと軽く、一瞬で離れその後頭の後ろを掴まれて強く引き寄せられ、本格的に唇が押し付けられた。

キスはお預け→←愛の告白



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設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , カオナシ   
作品ジャンル:恋愛
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美音 - なんだろう…美影さんを内山昂輝さんの声で再生してしまうの… (2022年1月10日 7時) (レス) @page33 id: c6a6e435a8 (このIDを非表示/違反報告)
サリナ(プロフ) - 季紀さん» この書いた作品全てを消して悪女が出る作品を書いてください!m(__)m (2018年4月4日 17時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
ミルキ(プロフ) - 感動しましたので一度この作品の削除(変換)して夢主とハクが結ばれる作品を書いてくださいませんか?お願いしますm(__)m (2018年3月28日 10時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
季紀(プロフ) - 紫蘭さん» はい、してます!笑 というかばり白澤様です笑 (2017年1月23日 9時) (レス) id: e2d49320a9 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 間違いだったらすみません……。白澤様がどうして『鬼灯の冷徹』の白澤様にしか見えません(´;ω;`)← もしかしてモデルにしてますか!? (2017年1月21日 23時) (レス) id: 4fa9a25ace (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kiki | 作成日時:2014年12月28日 22時

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