君に救いを、己に罰を【wrwrd 】 (ページ5)

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Aside

部屋は食堂だったようで、広々とした空間に大きな長机が複数個並んでいた。

真ん中の方の席では12人くらいが着席していた。

グルッペンがその席に行くと、その席は一気に騒がしくなり、と思えば食事が始まっていた。

俺はその様子を入り口付近で見ているのだが、気になる事が一つ。

グルッペンを含め13人が着席しているそのテーブルには、あと2つ空席があった。

人と人の間にある席が空いているので、誰かが座ることは間違いなさそうだが……誰もその空席を気にしていなかった。

まあ大方、任務にでも行っているのだろう。

そう結論付けると、俺はさっさとそのテーブルに近づいた。

入り口付近から見ていても、顔が見えず声だけしか聞こえなかったからだ。

声だけでは、本当に昔の仲間かどうか分からない。

テーブルに近づくにつれて、徐々に全員の顔が分かるようになる。

そして、完全に全員の顔を見渡せる位置……グルッペンが座る反対に立った時、俺は静かに目を見開いた。

なぜなら、顔が見えた全員に見覚えがあったから。

昔の仲間が一人も欠けることなく、昔と変わらない姿でそこに居た。

まさか全員転生しているとは思わなくて、しばらく驚きで固まる。

が、好都合だとゆっくりと口角をあげて笑う。

後は、彼らに記憶があるかを確かめるためにこの軍に入り込んで近づくだけ。

今日は一旦宿屋に戻って、明日から準備をしよう。

綻ぶ顔をなんとか引き締めて、俺はここからから出ようと踵を返した。

……とその時、盛大な音を立てて食堂の窓が割れた。

「……っ！？」

窓を突き破り侵入してきたそいつは、素早くグルッペンだけを人質に取った。

その場の全員が臨戦態勢に入ったが、食堂の入り口から大勢の兵士の格好をした奴らが雪崩れ込んできて、動こうに動けない状態となってしまった。

兵士達はグルッペン達に銃を向けた。

明らかに味方ではない、敵だ。

「大人しくしていろ。一歩でも動けば………まあ、分かるな？」

グルッペンを人質に取った、リーダーと思わしき人物がそう声を張り上げた。

敵のリーダーのその言葉に、幹部達は静かに舌打ちした後膝をついて武器を捨てた。

この状況では、どんな行動を取ったとしても誰かが命を落とす。

この中で一番素早く動ける幹部が総統の側のリーダーを殺ったとしても、周りを囲む兵士に蜂の巣にされて終わり。

周りを囲む兵士を一掃する術は、彼らにはない。

……が、俺ならこの状況を打開出来る。