兎とお別れ ページ3
｢そんなわけないと思うけど･･･そうだとしても、無理だって分かっているけど･･･門倉部長と一緒にいたいな。｣
｢なら、それを叶えてあげましょう。｣
｢え？｣
｢ただし、ちゃんと僕を選んでくれたらの話ですけどね♪｣
そういって宇佐美は、ふと遠くで人々が行き交う場所を見つめる。
｢僕は、先に鶴見中尉殿のところへ戻っているので、Aさんはあそこの甘味処にでも行って、ゆっくりしていてください。｣
｢な、なんで･･･？｣
｢甘いものは嫌いですか？それとも、僕のいうことは聞いてくれないんですか･･･？｣
そういって宇佐美は強請るような甘い声でいった。そうされれば、Aは抗うことなど出来ないのはすっかり日常と化してしまった。
｢わ、分かったよ。甘いものは好きだし･･･あっちでゆっくりしてから戻るね。｣
｢物わかりが良くて助かります！ねぇ、Aさん･･･｣
｢な、なに･･･？｣
｢Aさんは、必ず僕を選んで戻って来てくれると信じていますから･･･｣
そういって宇佐美はAに優しく口付けをした。
｢ど、どういう──ってうわっ?!い、いきなり何を！っていない･･･｣
Aは、宇佐美のいいたいことが分からず聞き返そうとする。しかし、その刹那、宇佐美になんの前触れもなく繋いでた手が離され、人混みの中に背中を押されたA。振り返ったころには、既に宇佐美の姿はどこにも見当たらなかった。
｢とりあえず、いわれた通りにあの甘味処に･･･｣
そういってAは、宇佐美とあのような別れ方をしたこと、宇佐美のいいたいことが分からない自分にモヤモヤしながら、しょんぼりと下を向いて歩いていた。その時だった。
｢あれ？もしかしてAちゃん？｣
｢え、どちら様────って?!｣
｢ああ、やっぱりAちゃんじゃん！久しぶりだな･･･脱獄事件以来か！こんな所で会えるなんて、俺は運が良いぜ！｣
そういって、鬼と一時的に手を組むひとりの男が笑った。
狸さんのことは一旦隅に置いといて
お嬢さんは憧れの鬼さんが
手の届くところにいると分かったら
この兎さんに永遠の別れを告げますか
もし、そうするならば･･･
狸さんも鬼さんもお嬢さんも
全員血祭りに上げてさしあげましょう♪
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もふもふ | 作成日時：2019年1月5日 17時
