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行「僕の名前…呼んでくれないんですか?」

『行ちゃん?』

行「そうではなくて、僕の本命で」



抱擁が済んだら次はこれだ
いつも僕は役職名で読んでいるから不服でたまらないらしい


名前で呼ぶことに抵抗はないのだが

こうやって不服な顔で眉を下げる行ちゃんは、いつもの仏頂面とは打って変わって可愛らしさが増すのだ
暫くは呼んでやるまいと軽くかわした



行「意地が悪いですね、立法何かと一緒にいるからですよ。」

『そんな事ない』

行「それに今現世に居ると聞きましたけど?人間臭いで………!」

『?』



僕の体をしげしげ見ていた行ちゃんが、僕の左手を見て言葉をつまらせた

あぁ、これ…

あの時握りしめたことで爪が食い込んでしまった為だろう
しっかり血は洗い落としてきたのだが、傷はどう足掻いてもすぐには治せない。特別な処置が無い限りは


憂いを含んだ顔で僕の左手を優しく包み込む行ちゃん



行「人間ですか?そういえば隠世にそれらしき者の気配がしましたね。あぁ、何と痛々しい…殺してしまおうか。」

『これは違うよ、大丈夫。』

行「貴方が傷付く姿を見ていられません。何があったんですか?」


ズイッと僕の瞳に行ちゃんが大きく映る
距離が近い…


『…ただ、昔を思い出してた。翼を失った時の』


行ちゃんの目を直視できなくて横にそらす

その先には本棚があって、両翼を折りたたんで座る僕の周りにあの三人が寄り添い楽しそうに笑う写真が飾られてあった

僕が背を預ける木の上から水晶がぶら下がるようにして映っている



『もう昔になんて戻れない。行ちゃんならわかるでしょ?憎しみに囚われてる行ちゃんなら。』

行「…ッ」

『あの時こうすればよかったとか、今思っても間にあわないんだよ』

行「そうですね。」

『でも、今からは変えていける…もしかしたらが当たり前に変わる時が来るかもしれない』



僕は逸らした目をもう一度行ちゃんに戻して微笑んだ

だから大丈夫。と


過去に囚われて人間を憎む行ちゃんが、いつかその憎しみから開放できればいいと願って

行ちゃんの瞳が揺れていた



行「貴方って人は……僕では敵わない」

『人間を憎む気持ちはわかる。僕達ハルフゥやセイレーンの一族だって、人間に殺され苦しんだ。』

行「えぇ、知っていますよ」

『それを仕返したって負の連鎖は終わらない』




だから僕の両親は、この世界“隠世"を作ったんだ

妖怪達が心に傷を負わないように

傷を癒せるように____。

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氷夜猫(プロフ) - 凛歌さん» 返信が遅れて大変申し訳無い!;;暖かなコメ有難う御座います!まだ見ていて下さるのならばこれからも何卒宜しくお願いします! (2017年10月15日 10時) (レス) id: 733ee73110 (このIDを非表示/違反報告)
凛歌 - 友達から勧められて読んでみたんですが、とても面白かったです!更新頑張ってください!!(^^)y (2017年8月8日 16時) (レス) id: bd63f33454 (このIDを非表示/違反報告)
氷夜猫(プロフ) - 翔也さん» 暖かなコメントを有難う御座います!確かにあまり知られてないですよね…そのお気持ち分かります(´ー`*) (2017年5月20日 15時) (レス) id: 733ee73110 (このIDを非表示/違反報告)
翔也(プロフ) - モノノケ庵なのじゃぁぁぁぁ!!面白いです!更新頑張って下さい!僕の周りにモノノケ庵知ってる人少なくて悲しい. : * ~ * : . _ . ( 寂 ´ ・ ω ・ ` 、 ) シ ョ ホ ゙ ホ ゙ ホ ゙ ー ン (2017年5月12日 7時) (レス) id: 8a71459d56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氷夜猫 x他1人 | 作成日時:2017年4月1日 8時

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