【不機嫌なモノノケ庵】泡沫に響く唄【男主有】 (ページ19)

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ドサッと尻餅をつくように座り込む僕に、イツキが慌てて寄ってきた

その顔はとてつもなくキレた顔。

晴「てめぇ」

『ご、ごめん……なさい』

晴「無闇やたらと力を使うな！！」

『はい…』

ハナエが仲裁に入る

その手には小さくなった妖怪が抱かれていた。
出来るだけ、痛い時間が早く終わる様に僕の力で火力を底上げしたけれど…

目を覚ますかどうかはこの妖怪次第だろう

芦「随分と小さくなっちゃいましたね」

晴「薬で弱ったのもそうだが、体を大きくしてた原因の「不安」が小さくなったんだろう。あと、こいつ。」

指をさされるタイミングで何処か別の場所を見た僕。
…あっち向いてホイなら負けない自身があるぞ。

しかし、そのままの姿勢でガン見され、そろそろこの首の角度が辛いといった頃、ギギギと特徴的な声が聞こえた

芦「ギギギの親分！！よかったぁぁ生きてたぁぁ」

「痛いっっ！痛ぃぃぃっ」

晴「バカッ芦屋！！何してんだ！！」

反撃する妖怪。

目を覚ますだけでなくこんなに騒ぐくらいまで元気をつけてくるなんて

僕、変なもの流してないからね

扉を開けたイツキが驚いてたので近くまでふらふらと寄って行ったら、あのチビ達がそこにいた

「ギギギ…御三方よ……ご面倒をかけたな、チビたちが待っとる。そろそろ隠世へ行くよ」

『それなら…』

晴「待ってなかったみたいだな。迎えに来てるぞ」

ゆっくりとハナエが妖怪を下ろす

それから長く別れ話をしていたようで、チビたちが親玉を引っ張ったりしていた

1通りハナエとイツキの謝罪話が終わったところで、僕も声をかける

『これ、持ってて』

「その羽は何じゃ？」

『…僕の一部、隠世に行くと亀薬堂って言う薬屋がある、それ見せたらわかると思うから行ってみて』

「そうか、行ってみるとしよう」

さよならじゃと言いながら隠世へと消えていった

静かに扉を占めたイツキの横で、ハナエが一息つく
まぁ今日はハナエの初仕事みたいなものだから、疲れても仕方がないか

そっとイツキを支えると糸が切れた様に倒れ込んできた

2回開いたもんね

隣で焦る芦屋を気にせず、肩に頭を乗っけるイツキをそっと撫でた
　

今日はお疲れ様

心の中でそうつぶやいた。