＃13.キャラメルの成分表 ページ31
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智くんの言葉を鵜呑みにしたわけじゃないけど、オシャレをするに越したことはない。
例えこの約束がただの友達としての約束だとしても、好きな人には可愛いって思われたい気持ちがある。
女の子はみんな、そうだと思う。
前日の夜。
クローゼットの中から服を取り出し、何着ていこうかな、と色々とコーディネートを考えた。
あーでもない、こーでもない、と頭を悩ませていれば、あ、そういえば…とふと思い出した。
この前潤くんと遊びに行ったときに買った、白色のニット。
まだ封を開けずに、そのままにしていたその服を袋から取り出した。
このニットに合わせるなら何がいいかなって、クローゼットの中から出して、ベッドの上に広げた服の中から物色する。
やっぱり、スカートの方が可愛いよね。
女の子らしさを出すにはパンツスタイルよりはスカートかな。
このニットに合いそうなのは、このスカートかなって手に取ったのは、ミモレ丈のペールトーンのフレアスカート。
明日の天気予報を見ると今日よりも冷え込むらしいから、ロングコートの方が良さそう。
じゃあ…綺麗めな印象のあるライトグレーのステンカラーコートにしようかな。
靴は歩きやすく疲れにくい高さで、上品さもほどほどに出る、少しヒールのある黒のショートブーツ。
バッグも靴に合わせて黒色で、小さめなショルダーバッグを合わせよう。
洋服選びで、こんなにも時間を割いたのは久しぶりだ。
完全に明日の約束をデートだと勝手に思い込んで、一人で浮かれてる。
遠足前の子どもみたいに、ワクワクして眠れないかもしれない。
期待したらダメ。期待なんかしたらダメだって分かってる。
翔さんには想い人がいて、私のことは“友達”として付き合ってくれている。
友達でも十分じゃない。翔さんが屈託のない顔して笑ってくれるなら。
胸の奥に秘めた想い出を、私の前では少しでも忘れて、心から笑ってくれるのなら。
翔さんのことを幸せにしたい気持ちを叶えるには、“恋人”が絶対条件じゃない。
恋人にならなくたって、友達としてだって、翔さんの傍で幸せを与えることは出来るはず。
最近はずっと、翔さんのことばかりが頭の中を埋め尽くしていた。
四六時中、あなたのことばかり考えている。
見つからない気持ちの在り処を両手に持て余して。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
