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「てかカズ、一人？」
「いや友達と待ち合わせしてるんだけど、ちょっと遅れるっていうからブラブラしてたところ」
「ふーん」
「この子、なにちゃん？」
潤くんへと向いていた彼の目が、再び私へと向けられた。
にこっと可愛らしく微笑んだ彼。可愛い部類のイケメンだ。
微笑みかけられて、不覚にもドキッとしたのは仕方ない。
イケメンの基準値は高い方だけど、この彼もその基準値を超えて来るイケメンだから。
潤くんと翔さんは王子様系統のかっこいいイケメンだけど、彼は可愛いイケメン。
「A」
「Aちゃん？可愛いね。幼馴染いるなんて聞いてないよ」
「言う必要ないだろ、べつに」
「んふふ、まあそうね。でも潤くんの彼女には会ってみたかったんだけど」
「会ってどうすんだよ。お前自分の奥さんにしか興味ないくせよく言うなぁ」
「まあそうだけどさ、潤くんの女の子の趣味全然分かんねぇから知りたいっていう気持ちはあんの」
二人が話している様子を横で黙って見ていれば、不意にこちらに目を向けた彼が「あ、俺は潤くんと同じ会社で同期の二宮です」と言って、軽く会釈した。
“二宮”という苗字と、潤くんが彼に向かって“カズ”と呼び掛けていたのと、潤くんと“同期”という情報を全て照らし合わせたら、見事に繋がったものがある。
「…二宮、和也」
思わず声に出していた彼のフルネーム。
この彼が、“あの”二宮和也さん？翔さんの好きだった人の旦那さんなの？
まさか彼が、二宮和也さんとは思いもしなかった。
「ん？俺のこと知ってる？」
私の声を聞いたあと、不思議そうに首を傾げた二宮さん。
首を傾げる角度が絶妙で可愛い。何だろう、彼はあざとい。
「あ、いや…潤くんからお話を聞いたことがあって」
「え、なによ。潤くん俺のこと話したの？」
「いや同期だってことぐらいしか話してねぇよ」
チラッと私の方に目を向けて来た潤くんの無言の合図。
多分それ以上掘り下げるな、と言いたいんだろう。
二宮さんに訊きたいことは沢山ある。
私は前から二宮さんの存在自体は知っていたけど、二宮さんは私とは全くの初対面。
この瞬間まで、名前すら知らなかった。
そんな相手から、プライベートな話題を投げ掛けられるのは不自然で可笑しなこと。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
