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宵音side


もっと話したいだけ。
其れ以上でも以下でも無い本音を口に出すと、中也は少し瞠目する。

中「はぁ・・・一寸こっち来い」

が、其れも数秒の事で、溜息を吐いた中也は、路地の奥を指した。

あまり遅くなると、探偵社の皆さんに心配を掛けるが、少し話す位なら大丈夫だろうと思い、付いて行く。

中也を追って、角を曲がった先で私が見た光景は。

宵「・・・・・・⁉」

_____自分の眉間を、黒光りする銃口が狙っていた所だった。

『・・・・・・・・・』

両者の間に、泥の様に暗く、重い沈黙が落ちる。


のに、

宵(・・・何此れ・・・やばい、けど・・・なんか凄い。面白い)

頭の片隅が、此の不測事態にはしゃいで居るのに気付いて、溜息が溢れそうになるのを慌てて堪えた。

・・・やっぱ阿呆だ、私。

残った理性で、本気で頭をぶん殴ってやろうかしらんと考える。

いやあのな、今選りに選って好きな奴に拳銃向けられてんだぞ?
あの指先に力入ったら人生終わるの分かってるか?
空気読め、脳。

・・・まあ其の脳内突っ込みのお陰で今こんなに冷静で居られる訳だが。


中「_____っつぅ可能性もある訳だ」

其の言葉に我に返ると、中也はあっさり銃を下ろした。

中「お前は警戒しなさ過ぎっつか、甘ぇんだよ。今だって、俺がその気なら、今頃手前の命はねぇ」

何処か心配めいた、痛切な光を滲ませた瞳で、私を睨む。

中「・・・今回の事に凝りたら、もう、俺やポートマフィアに軽々しく関わらねえ方が・・・ってお前、何笑ってんだよ」

おっと、感情の昂りが口の端に出ていた様だ。

宵「・・・悪い。其の・・・今の状況が余りにも非現実的だったもんで・・・多分一寸楽しんでた」

其れを聞いた中也は一瞬唖然として、

中「はああぁぁぁ・・・」

疲れた顔で、物凄く深い溜息を吐いた。

中「・・・お前もマゾかよ・・・(智星が言ってた“あんな性格”ってこういう意味か・・・)手前、もっと自分の命大切にしやがれよ」

半ば呆れがちで、然しやや安堵した様に、言葉を綴る。

中「ったく・・・嗚呼そうだったな、お前は殺気浴びせた相手も平気で家に入れちまう様な奴だったな・・・忠告しても無駄だったぜ」

いや、無駄ではないと思う。・・・多分。

中「手前が如何なろうと、俺ァ知ったこっちゃねぇからな」

突き放す様な口調で言う中也に、私は少し笑って、

宵「本気で見捨てる積りの奴は“自分の命大切に”なんて云わねえよ。心配、ありがとな」

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作者名:灰翠玲 x他1人 | 作成日時:2020年10月25日 6時

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