39(サイド変更版続) ページ41
宵音side
中也が去った方向を眺め、次に手元の紙袋に視線を移し、軽く溜息をつく。
全然喋れなかったな・・・。
ふと、騒がしかった筈の背後が静まり返っているのに気付いて振り向くと、場の全員が、唖然として私を見て居た。
宵「あのー(谷「宵音サン、今のッて」
敦「すっごい親しげでしたけど・・・」
ナ「・・・宵音さんの笑顔なんて、初めて見ましたわ」
宵「ええ?そうでもないですよ」
否定したにも関わらず、ナオミちゃんの言葉(私にとっては衝撃の一言)に、皆がコクコクと頷く。
国木田さんと太宰さんの遣り取りに突っ込みを入れる時は、大抵苦笑いだったのだが・・・私はそんなに人相が悪かっただろうか。
太「て云うか、口調がまんま中也だったんだけど・・・矢っ張り宵音ちゃん、洗脳されてるんじゃ」
宵「誰にですか。素で喋っただけですよ」
敦「宵音さんの素、あれなんですか⁉」
ナ「お化粧以前に、色々と難がありそうですわね・・・」
思慮する様な顔のナオミちゃん。
いや済みません、お化粧楽しかったですが、私に女子を求めるのはもう諦めて下さい。
ふと、太宰さんが何か思い付いた様な表情になって、再度私を見た。
太「・・・そう云えば宵音ちゃん、ネクタイ渡せた?」
宵「あ」
やっべ、忘れてた!
太「・・・宵音ちゃんって実はドジ?」
宵「莫迦なだけです」
太「だけって」
今なら未だ間に合うかも知れない。
宵「渡して来るのでちょっと抜けます」
太「でも今宵音ちゃん脚怪我してるんだし」
宵「済みません」
太宰さんの声を無視して、一寸脚を引きずった儘人混みに飛び込んだ。
ーーーーーーーーーー
太宰side
太「ー今日宵音ちゃん一個年取るんだから、此処は若くて活きの良い敦君に頼んだら・・・ってもう行っちゃってるか」
今の云ったら、一個しか違わないでしょとか自分が行きましょうよとかって突っ込まれそう。
谷「太宰サン、でも、本当に良いンですか?1人で追わせて・・・マフィアの幹部なンでしょう?」
谷崎君が敦君と同じ目で私を見て、そう問うて来る。
太「大丈夫には大丈夫だ。(問題は其処じゃなくて)・・・正直、私としてはあまり、いや相当気が乗らないのだけど・・・宵音ちゃんもまた別に話がありそうだしね」
敦「別の話、ですか?」
然も先刻の見てたけど、中也の様子も何かおかしくなかったか?
珍しく緊張してるみたいだったけど。
ーいや、真逆ね・・・。
太「・・・プレゼント選びに戻ろうか」
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作者名:灰翠玲 x他1人 | 作成日時:2020年10月25日 6時