新入社員とポートマフィア (ページ21)

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太宰side(やぁやぁやっと私の出番だよ！今迄あんなに国木田君は出てたのに私にはちっとも回ってこなくて悔しくて悔((国(疾くやれ‼

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朝、宵音ちゃんが一人暮らしをして居るアパァトへ迎えに行ったら、なんと既に家を出た後だった。

え、疾くない？護衛役置いて行くって如何なの⁉

ー道中、良い川を見つけたけれど、今日ばかりは後ろ髪を引かれる思いで探偵社に向かった。

・・・行き帰り一緒なら、其の儘ペアを組んで、実力を見てやれー、だなんて言われたのだけど。

やだなぁ仕事・・・でもこんな美少女の為だし、真面目にやらなきゃ国木田君に怒られそうだし。

新人の腕を見極めるのは先輩の役目だからねぇ・・・良し、人肌脱いでやろうじゃないか！

こう見えても私、人選に自信は有るのだよ？

・・・今は初仕事の真っ最中。

母「ーこの子も心配していて」

トクヤ君の表情は固く、あまりそう云う風には見えない。

宵音ちゃんは傍に置いた鞄をゴソゴソ漁って、先ずメモ帳とペンを出した。

用意が良いなぁ・・・。

でも見ての通り、トクヤ君はあまり乗り気ではないようだけれど・・・扨(さて)、如何対応するのかな？

と思って見ていたら、宵音ちゃんは、何かを握って立ち上がると、トクヤ君の前に歩いて行った。

背も高くて姿勢も良い宵音ちゃんが真顔で近付いて来たもんで、トクヤ君、一寸怯えてるよ。

宵音ちゃんは「眼閉じて、口開けて」と言って、恐る恐る開いた相手の口に、チョコレェトを放り込んだ。

宵「これで落ち着く為の栄養が脳に届いた。コッチはナナちゃんの姿を思い出す分のエネルギィ」

そう云って、机にもう1つ同じ物を置く。

宵「・・・別に飼い猫が行方不明になって泣くのは恥ずかしい事じゃない。後悔したく無いなら、今は探すの手伝って？」

途端に、抑えていたのだろう、トクヤ君の涙が溢れ出す。

確かに此の位の年齢になって来ると、周りの目を気にし出すかもねぇ・・・ふむ、中々良く見てるじゃない。

此れで真顔棒読みじゃ無かったらもっと良いのだけど。

宵「・・・じゃあ先ず、外見の特徴を教えて下さい」

残りのチョコレェトを味わって、つっかえつっかえ話すトクヤ君と、其れをノートにメモする宵音ちゃん・・・でもなんか筆の動きおかしくない？

宵「ーこんな感じ？」

メモ帳には、或る猫の絵。

ト「凄い・・・ナナだ・・・‼」

太「上手過ぎでしょ」

こんな才能が有るとはね。

宵「ー見つかったら御連絡します」