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「は。」
反射的に思わず声が出てしまう。
私だって魔力補給というものがどういうものだかくらい知っている。確か始めの頃、ダヴィンチちゃんに教えてもらったのだ。
私が困惑し固まっていると、それにいち早く気づいたマーリンは、私の手元の紙を見て「おや無事に見つかったんだね。」と、優しくも微笑を零しながら近づいて来る。
何故だか彼にはその紙の内容を見せたくなくて、彼が見る前にサッと背中に隠す。マーリンは一度目をぱちくりさせると、私の背中に回ってその紙の内容を見ようとする。今度は私はお腹に隠す。そんなやり取りを続けているとマーリンは流石に不思議に思ったのか、キョトンとする。
「おやマイロード。どうしたんだい?」
「いやー、これはちょっと、不健全と言いますか…、てかこれマーリンにだけは見せたくないなー…」
私の言い分にマーリンは「ひどいな?!」とオーバーリアクションをしてくれるが現在の私はハラハラである。だってこれ、どうすれば良いの。と、戸惑っているとマーリンは「取り敢えず見せてもらうね。」と言い手元にある紙を私から奪った。
「魔力補給、かい?」
「っうぁあああああ!!!?!」
取り返そうと手を伸ばすも時すでに遅し。マーリンはその内容をしっかりと、見てしまったのだ。たった四文字。されど四文字。しかし、状況を理解するのには十分すぎるメモであった。
それを見たマーリンは一度、自身の顎に手を添えなにかを考えるような素振りを見せる。もしや、何か別な方法を考えているのだろうか。ああ、そうだ。きっとそうだ。だって彼はろくでなしで女誑しで、どうしようもない奴だけれどこういう時は頼りになるのだから。きっと私との考え方も一味違うのだろう。
「…ふむ、これは...ヤ るしかないね。」
と、期待したがどうやら期待した私が馬鹿だったようだ。流石は、ろくでなし魔術師だ。もうもはや此処まで欲望に正直だと尊敬の念すら湧いてくる。
「まあ絶対にシないけどね。」
「ええ?せっかく男女が二人きりで閉じ込められたのに?」
お前はこのシュチュエーションに一体なにを望んでいるんだ。と、思わずツッコミたくなったが一々突っ込んでいたら日が暮れてしまうのでやめておいた。はあ、めんどうくさい。
___ 結局、この部屋の外から助けに来てくれた巌窟王に助けられたのは言うまでもない。
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愛里(プロフ) - Ratte*らてさん» らてさんはじめまして〜、さっそくですが…リクエストいいですか?孔明先生の話描いて欲しいんですけど…ダメですか? (2020年3月1日 22時) (レス) id: 95c5af7e07 (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - ひええ〜っ(;ω;)、恐縮です…そう言われるのが一番嬉しいです…。はい!自分のペースで出来るだけ早めに更新出来るように頑張りますね…!有難う御座います(´>ω<`) (2019年6月25日 22時) (レス) id: 9c512a775a (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - とってもすきです!ご無理のなさらず自分のペースで頑張ってください!! (2019年6月25日 19時) (レス) id: f04a9b22a1 (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - エリさん» 嬉しいお言葉を有難う御座います!リクエストも大変有難い限りです!!!、リクエスト早速書かせていただきますね! (2019年5月3日 11時) (レス) id: 9c512a775a (このIDを非表示/違反報告)
エリ(プロフ) - とても面白いです、続き楽しみにしてます!リクエストなのですが、エルキドゥで愛してるゲームお願いできますか? (2019年5月3日 0時) (レス) id: 5baed310b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ratte*らて | 作成日時:2019年4月8日 0時