いいふーふの日《Osaid》 ページ12
翔くんは忙しい。
特に、この年末の時期は。
会話も減って、楽屋では新聞や資料、台本やらとにらめっこ。
隈が消えてないこともあったりして、すごく心配だ。
メンバーとしても、恋人としても。
でも、今度の休みは、おいらと翔くんの休みが重なる日。
…ってことで、翔くんに休んでもらおう大作戦！！
「翔くん、おはよ」
「…おはよう」
コーヒーだけ飲んで、早速自室にこもろうとする翔くんを止める。
「何、俺、やることあるんだけど…」
「翔くん！」
「お出掛けしよう！」
渋る翔くんを着替えさせて、マフラーぐるぐるにして、いざ出発！
「智くん…っ、どこ行くの！？」
「ひみつ！」
翔くんの手を掴んで、ずんずん歩く。
なんか後ろで文句言ってる気がするけど、気にしない。
捕まえとかなきゃいなくなりそうなんだ、おいらの翔くん。
10分くらい歩いて、着いた先。
「…海…？」
「そう、海！」
「…釣りしたいの？」
「違うよ？」
「…寒いんだけど」
「知ってる、おいらもだもん」
なにやらぶつぶつ言ってる翔くんのほっぺを掴んで、こっちに向けた。
「しょーくん」
「…なに？」
「翔くんはな、頑張り屋さんだよ」
はてなをいっぱい浮かばせてる翔くん。
そのきょとん顔、久しぶりに見たなぁ。
「でも、今日はお休みだろ？」
「…」
「おいらとさ、ゆっくりしようよ」
「…智くん…」
「縁側でビール飲んでさ、」
「うち縁側無いけどね」
「鍋でも食べてさ、」
「智くんが作ってくれるの？」
「いいふーふ？の日だしさ、」
「いい夫婦の日ね？…って、関係ある？」
「おいらと、いちゃいちゃしようよ」
「…鍋までかっこよかったのに」
くすくす、と笑う翔くん。
そんな可愛い顔も、久しぶりに見た。
「きれい、だね」
翔くんが、海と空の青を見て、それからおいらを見て、ふんわりと笑った。
「しょーくん」
「ん？」
「寒いし、もう帰ろっか」
「うん」
さっきと同じ道を、今度は手を繋いで、ゆっくりと帰る。
いつもは手を繋ぐ、なんて人目につくところではしてくれない翔くんが、自分から握ってきてくれた。
何でも、寒いから、らしい。
冬まじっく？だ。すごい。
「…智くん」
「んー？」
「…ありがと」
「んふふ、どういたしまして」
今日は二人でゆっくりして、いっぱいいちゃいちゃしようね、翔くん。
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作者名：salt_* | 作成日時：2017年8月29日 20時
