いつかの話 ＿1 ページ29
風丸side
すっかり通い慣れた病院を、見舞いに持ってきた花束を揺らしながら歩く。
そしてある番号の病室の前に着くと、
2回程ノックをしてから｢俺だ｣と中にいる人物に向かって言った。
中から聞きなれた声で｢どうぞ｣と言われてから、ドアを静かに開ける。
中に居た人物、"A"はベッドから上半身だけを起き上がらせながら、
風がそよいでいる青い空を見上げていた。
風丸｢体冷やすぞ｣
そう言ってから少しの隙間を空けて窓を閉める。
｢少し外を感じたかったんだよ。許してな｣
中学の頃と比べると落ち着いた雰囲気になったA。
口調は相変わらずで変わっていない。
風丸｢それもいいが、無理はするなよ？
お前の旦那が心配し過ぎて次こそ倒れるぞ｣
苦笑しながら言って花瓶に花を生ける。
俺の言葉を聞くとAは手にある銀色の指輪をそっと撫でた。
その様子を見てから椅子をベッドの横に持ってきて座る。
風丸｢それにしても、お前が俺より先に結婚して子供を授かるとはな｣
｢はは、兄さんに彼女出来そうになったら私が阻止してたからね！｣
風丸｢Aのせいで、婚期はまだまだ先だろうな｣
やれやれという感じで言うと、笑いながらAは言った。
｢大丈夫でしょ、兄さんなら。
もう邪魔したりはしないようにするよ。変な女だった場合は別だけどな
秋とか、春奈、夏美やつくし、杏奈みたいな子にしてよ｣
風丸｢名前出した中だと人妻取るみたいになるんだが…｣
特に鬼道に殺されそうだな……。
｢例えとして！……あ、今蹴った｣
また口を開こうとすると、大きいお腹を撫でて言ったA。
風丸｢元気な子が産まれるな。性格はAよりじゃなくて、
旦那の方に寄って欲しいけど｣
｢た、確かに、私より落ち着きはある…な｣
むーっと言って唸るA。
それを見て笑ってから色んな話をし始めた。
ふと時計を見ると円堂と約束していた時間になっていた。
風丸｢悪い、もう行かないと。円堂との約束に遅れるからな｣
｢そっか。来てくれてありがと｣
風丸｢この後あいつ来るんだろ？早くお暇しないと、2人で話したいことも話せないだろうし｣
鞄を持ちながら言うと｢からかわないでよ｣と怒られてしまった。
じゃあなと言ってから病室を出て廊下を歩いていると、
Aの旦那であるあいつが歩いて来た。
俺に気付くとふわっと微笑んでから、会釈をされる。
俺もそれに応えてからすれ違った。
俺が正式に叔父さんになるまで、後少し。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します！とても楽しく読ませて頂きました！今後とも応援しています！頑張って下さい！(*´ω｀*) (2021年11月8日 9時) (
レス) @page38 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 雪華さん» またまたコメントありがとうございます！他の作品でもコメント下さった時に言ったやつと、最近はモブサイコ100とか見てますよ！ (2019年3月7日 19時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 知ってるアニメは何ですか？ (2019年2月18日 22時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - メープルあんり（＾ω＾）さん» コメントありがとうございます！面白い、がとても嬉しい言葉です｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡旦那はほんとに誰にも教えてないので、これからですよ！ちなみに視点をお願いしたキャラは旦那では無いので、いつかの話を更新する度にドキドキして欲しいです！ (2019年1月11日 8時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 麗音さん» 見てくださって嬉しいです！あの2人の絡みでは、野坂君の違う一面を書きたいな！と思ったので、もちろんたくさん出てもらいますよ！まだまだ展開はたくさん考えてます！お楽しみに！コメントありがとうございました！ (2019年1月11日 7時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春月卯月
| 作成日時：2018年12月16日 23時
