才能に抗うは知力也【黒子のバスケ】 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:22,987 hit

３章　試合ページ9

誠凛高校の初試合。
一回戦の相手はあまり名の知れていない高校。
まあ、それはうちも変わらないのだけれども。

なお、私はベンチではなくスタンドから観戦中。
どうにも私が士気を下げるのではないのかと言われて追い出された。
あーあ、なんて可哀想な私ー。

「別にいいんだけど。」

それにここで負けるようじゃ監督の勝てるチームってのがそこまでのチームだってことだし。
そんなのじゃ私も興ざめしてしまう。

そして試合開始のホイッスルがなる。
一斉に選手が動き出す。
初めにボールを取ったのは誠凛だ。

思っていたより皆良い動きをしている。
まあ相当鍛えられていたし当然か。
そしてあっという間に点を取る。意外と誠凛が押しているムードだ。

この調子だと一回戦は余裕だろうな。
そう確信した私は席を立った。これ以上見てても変わらないし。
少し歩いて、外に出ようとしたとき思いがけない人物に鉢合わせた。

「おお、Aやないか！」
「え...ああ、今吉先輩ですか。どうも。」

私の中学の先輩。今吉翔一さん。
確か桐皇高校に行ったんだったけな。
相変わらずの胡散臭い顔だ。本人にばれたら怒られるけど。

「なんや、まーた失礼なこと考えとんのか？」
「っ、いえそんなことないですよ？」
「はあ、ほんまに分かりやすい奴やな。それにしてもこんなとこで何しとんのや？」
「試合見てたんですよ。うちの高校の。」
「そか、お前誠凛行ったんやったな。どうせ息苦しくなってるんやろ。」

...なぜばれたし。
いや息苦しいと言うよりは反りが合わないと言ったほうが正しいな。
別にあの場に居たくないという訳では無い。
どちらかといえば居させたくないという雰囲気が漂っている。

「ま、お前と反り合う奴の方がすくないやろ。精々頑張りや。」
「どうも、ご忠告有難うございますー。」

あの人と話していると何倍も疲れる。
ほんと外で息抜きしよう。私はそこを後にした。
その頃誠凛は初の勝利に喜んでいた。