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「ふはっ、こいつ噂のルーキーコンビの一人じゃあねえか。」
「うん、それは知ってるんだけど。この子の中学のときの試合って見た事ある?」
「...あんま記憶に無え。てか、別に目を見張る程でもなかったしな。」
...ですよね。
やはり、いくら真といってもそこまでの情報はないのかと少し落胆。
じゃあ、他に情報を持っていそうな人...。
考えた末に出てきたのは一人の人物。
「今吉先輩?」
でもあの人のところに行くのにはとてつもなく気が引ける。
ていうかそんな簡単に教えてくれるものか?
あの腹黒いサトリのことだ。教えないなんてザラに有り得そうな気もしている。
「は、もしかしてあの妖怪のところに行くつもりかよ。」
「...情報が無い以上はそうするしか無くない?」
「え!妖怪っていつも花宮が言ってる先輩のこと?」
「うるせえぞ、原。」
そんなに嫌そうな顔しなくても。私は苦笑いを浮かべるしかない。
しかし、そんな嫌といっている場合でもない。
誠凛は確実に潰したい。そのタメになら、今は妖怪の手でも借りるしかない。
その場でひとつ溜息を吐く。
気分が乗らないどころの話ではないが私は腹をくくった。
携帯を取り出して、桐皇学園までの道のりを調べる。
少々長い時間がかかるが、今からならなんの支障も無いだろう。
そうと決まれば、とまた私は駆け出した。
さっき青峰大輝にかけられた言葉なんて心に留めていない。
少しはモヤがすっきりして。でもどこか踏ん切りのつかないような。
青空なのに、太陽が隠れた空はまさに今の私のような気がした。
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